【MMD研究所】2020年12月 携帯料金値下げの動向から見通す、容量プランのシェア変化と多様化するユーザーの選択肢

MMD研究所

■通信料金の利用状況―現状はまだ有利なMVNO

2020年10月27日、総務省より携帯値下げへの改革案「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けた「アクション・プラン」が発表されました。

通信業界における、国内での市場環境活性化のための動向をさかのぼると、2014年、総務省は「モバイル創生プラン」でMVNOの新規参入を促すとともにSIMロック解除、4G商用化を目指し着手してきました。

2018年8月、日本の携帯電話の利用料について「今よりも4割程度下げる余地がある」と菅前官房長官が発言し、2019年3月には通信料金と端末代金の完全分離を目的とした電気通信事業法の改正案が閣議決定されました。同年、端末分離プランであるdocomoの「ギガホ/ギガホライト」、auの「新auピタットプラン」が発表され、SoftBankの「ウルトラギガモンスタープラス/ミニモンスター」も改定されました。これらの動きから月額料金が大きく下がったとは言えませんが、料金プランがわかりやすくなり、乗り換えのハードルも下がりました。

それから2020年現在、アクション・プランを受け大手キャリアはさらなる値下げの可能性を見せました。今年10月にauとSoftBankのサブブランドによる値下げを発表し、12月にはdocomoが月間20GBで2,980円の大容量プラン「ahamo(アハモ)」を2021年3月から提供すると発表しました。

MMD研究所では、MVNO契約者が増加する以前の2014年から料金調査を行ってきました。
政府の動きとともに見ると、2018年の菅前官房長官の発言を受けた後に「2018年11月 モバイルデバイスの利用料金実態調査」、2019年の電気通信事業法の改正決定後に「携帯電話の違約金に関する調査」、「消費増税や端末分離プラン施行に関する意識調査」を発表し、常に業界の動向と合わせた調査を実施してきました。

今回の「2020年11月通信サービスの料金と容量に関する実態調査」は2020年10月16日~19日の期間で聴取しました。本調査はここ数年の動向を受けた結果であり、今後を見通す指標ともなるでしょう。こちらのブログではデータの一部を抜粋してご紹介します。

まず、一人あたりの通信会社に支払っている通信の月額料金を見ていきます。スマートフォンを利用している全国の15~69歳の男女14,639人(楽天モバイル(Rakuten UN-LIMIT)を除く)を対象に、端末料金などを除いた通信費のみの月額料金を聞いたところ、大手3キャリアユーザー(n=10,793)は「4,000円~5,000円未満」が12.0%、格安SIMユーザー(キャリアサブブランドのY!mobile、UQ mobileとMVNOを含めたユーザー)(n=3,846)は「1,000円~2,000円未満」が33.6%、MVNOユーザー(n=2,113)は「1,000円~2,000円未満」が50.6%でそれぞれ最多となりました。

2019年に、最安で2,000円台となる分離プランを開始した大手3キャリアですが、現状では2,000~3,000円未満にとどめられているユーザーは他の通信サービスと比べ少数となりました。価格帯で比べると「1,000円~2,000円未満」はMVNOユーザー(n=2,113)が50.6%で、大手3キャリアユーザー(n=10,793)とは47.1ポイント差を付けました。現状、大手3キャリアで3,000円未満に抑えるには家族割や光回線とのセット割への加入が必要です。そのため、大手3キャリアが家族プランや光回線の割引等なしで、どれだけ値下げできるのかが今後のMVNOの競争がシビアになるかどうかの分かれ目となるのではないでしょうか。

MMD研究所、2020年12月 携帯料金値下げの動向から見通す、容量プランのシェア変化と多様化するユーザーの選択肢

■月間容量プランの利用状況―通信会社に限らず、小容量帯のユーザーが多数

ここからはデータ容量プランについて全体の利用状況から見ていきます。
スマートフォンを利用している全国の15~69歳の男女14,639人(楽天モバイル(Rakuten UN-LIMIT)を除く)では、「小容量(1GB以下~7GB未満)」が61.4%、「中容量(7GB~20GB未満)」が7.7%、「大容量(20GB~無制限)」が16.1%となり、小容量帯のユーザーが最も多い結果となりました。

MMD研究所、2020年12月 携帯料金値下げの動向から見通す、容量プランのシェア変化と多様化するユーザーの選択肢

スマートフォンを利用している大手3キャリアユーザー(n=10,793)に、現在利用している月間のデータ容量プランを聞いたところ、「小容量(1GB以下~7GB未満)」が54.4%、「中容量(7GB~20GB未満)」が7.2%、「大容量(20GB~無制限)」が20.9%となり、全体での結果と同様、小容量帯ユーザーが最も多いことがわかりました。

今後は、docomoの「ギガライト」、auの「ピタットプラン 4G LTE」、SoftBankの「ミニフィットプラン」など、最低2,000円台で収まる大手3キャリアプランがどれだけ値下げされるかで、小容量帯ユーザーの利用が多いサブブランドやMVNOのシェアも変わってくるのではないでしょうか。また、現在大手3キャリアで契約できる20GB~無制限の大容量プランではdocomoの「ギガホ」・「5Gギガホ」、auの「データMAX 4G LTE」・「データMAX 5G」、SoftBankの「メリハリプラン」があります。直近では、docomoが月間20GBで2,980円の「ahamo(アハモ)」を2021年3月から提供すると発表しました。このような大容量プランの値下げが、小容量帯ユーザーが6割以上を占める現状の結果に、どれほど変化を及ぼすのかはまだ不透明なように思えます。

MMD研究所、2020年12月 携帯料金値下げの動向から見通す、容量プランのシェア変化と多様化するユーザーの選択肢

続いて、格安SIMユーザー(キャリアサブブランドのY!mobile、UQ mobileとMVNOを含めたユーザー)(n=3,846)のみで見ると、「小容量(1GB以下~7GB未満)」が80.9%、「中容量(7GB~20GB未満)」が9.3%、「大容量(20GB~無制限)」が2.7%となりました。小容量帯ユーザーが8割以上であることからも、格安SIMユーザーは必要最低限のデータ容量プランで通信料金を抑えたいと考えるユーザーが多いことが窺えます。しかし、大手3キャリアのメインブランド、サブブランドともに小容量プランの値下げがあった際、MVNOは状況が厳しくなる可能性があります。

また、10月のアクション・プランを受け、Y!mobileの月間20GBで4,480円の「シンプル20」とUQ mobileの月間20GBで3,980円「スマホプランV」などサブブランドの新料金プランが発表されました。上記が及ぼす変化を予想すると、現状20GB~無制限のデータ容量プランを契約している格安SIMユーザーは2.7%のため、格安SIMユーザー内で利用状況が変わるというよりも、大手3キャリア(メインブランド)からの移行者が増えてくるようにも見えます。

MMD研究所、2020年12月 携帯料金値下げの動向から見通す、容量プランのシェア変化と多様化するユーザーの選択肢

格安SIMユーザーは自分に最適なプランを選んでテータ通信料を最小限に抑えたいと考える人が利用するイメージがありますが、大手3キャリアユーザーも少量帯のユーザーが多いことが、先ほどの結果からわかりました。また、大手3キャリアユーザーは、大容量プランを利用する人も多いのではないかとも思いますが、実際、周囲の一般的な(動画やインターネットの利用が特別多くない)大手3キャリアユーザーの声を聞くと、1GB~7GB未満に抑えながら利用しているとのことでした。このような事情が、今回の結果にも表れたのではないでしょうか。

■容量プランの見直しの現状と今後―多様化する選択肢

スマートフォンを利用している全国の15~69歳の男女2,100人(楽天モバイル(Rakuten UN-LIMIT)を除く)を対象に、契約しているプランの見直しの頻度を通信サービス別に聞いたところ、大手3キャリアユーザー(n=900)は58.3%、格安SIMユーザー(キャリアサブブランドのY!mobile、UQ mobileとMVNOを含めたユーザー)(n=1200)は65.0%、MVNOユーザー(n=674)は67.1%が「機種変更のとき以外はプランの見直しは行わない」という結果となりました。

近年、政府による通信事業者の市場環境活性化のため、業界内で様々な動向がありました。今年10月の「アクション・プラン」発表後、大手3キャリアの値下げの動きは、auとSoftBankによるサブブランドの新料金プランの発表がありました。また、12月3日にはdocomoが大容量プラン「ahamo(アハモ)」の新設を発表しました。今回のdocomoの新料金プラン発表を受け、近い将来、各社の値下げ合戦が行われていくかもしれません。
その際は、自身の料金を見直し、通信会社の選定に敏感になる人が増えてくるのではないかと思います。

中容量プラン(7GB~20GB未満)のユーザーは大手3キャリアに加えサブブランドの選択肢ができました。端末料金を抑えたい、家族プランに加入しない小容量帯のユーザーは現状MVNOの選択肢が挙がりますが、大手3キャリアの値下げや新たなプランにより、「今契約している小容量帯のプランでは少し物足りない」という人達に大手3キャリアやサブブランドの選択肢が加えられるようにも見えます。

今回の結果から、改めて自身や家族の通信使用状況を確認し最適化していくのに良い時期が来るでしょう。

MMD研究所、2020年12月 携帯料金値下げの動向から見通す、容量プランのシェア変化と多様化するユーザーの選択肢

MMD研究所では、今後も政府や各社の動向に合わせた調査を実施していきます。通信業界について何かお困りごとやご相談事等ございましたら、お気軽にお問い合わせ窓口よりご連絡くださいませ。

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