ニュース・WEB広告・ツール・事例・ノウハウまで
デジタルマーケティングの今を届けるWEBメディア

youtube
feed

【THECOO インタビュー】インフルエンサーマーケティングとステマ規制について

時計2023.10.10

更新2023.10.10

THECOO株式会社 吉田沙織さん

THECOO株式会社

THECOO株式会社は、SNS・デジタルでのプロモーションを支援する「デジタルマーケティング事業」と、会員制ファンコミュニティアプリ「Fanicon」を展開しています。
デジタルマーケティング事業では、SNS・デジタルが全盛となる時代にあわせたプロモーション企画の立案や実行を担い、デジタルとコンテンツの力をフルに活用してブランドのマーケティングを支援しています。

今回のsyncAD(シンクアド)インタビューは、THECOO株式会社で行われた調査データを基にインフルエンサーマーケティングについてのお話と、2023年10月からはじまるステルスマーケティング規制について詳しく伺っていきたいと思います。

各SNSにおけるインフルエンサーマーケティングとは

THECOO株式会社 吉田さん

ーまず、インフルエンサーマーケティングを簡単に教えていただけたらと思います。

インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーと呼ばれるSNSでファンを持ち、影響力のある方たちに、企業が商品やサービス、金銭を提供し情報発信してもらうを全般的にインフルエンサーマーケティングと呼びます。

日本ではyoutube、instagram、X(twitter)TikTokの四つが主要なSNSですが、インフルエンサーマーケティングは消費者に対して、芸能人の方たちよりも身近な存在というところが特徴的なプロモーションになっています。
商品やサービスをインフルエンサーにSNSで紹介してもらう「タイアップ投稿」であったり、インフルエンサーに商品を送り気に入ってもらえれば紹介をしてもらう「ギフティング」であったり、最近ではオフラインでの活動が活発になっていますからイベントにインフルエンサーを呼んで登壇してもらうといった活動も増えてきています。

ーインフルエンサーマーケティングを主に行うSNSは、いろいろなSNSがあると思うのですが、どのような違いがあるのでしょうか?

まず各SNSの特徴を簡単にお伝えしたいのですが、先ほどもお伝えした通り、youtube、instagram、X(twitter)TikTokの四つが日本で主要なSNSプラットフォームとなっています。

一つ目のYouTubeは投稿の多くが10分以上の長尺動画であることが特徴です。他のSNSに比べて尺が長い分、商品やサービスの詳細まで消費者の人たちに知ってもらうことが出来、商品理解に繋がりやすいです。また利用している年齢層も幅広くなっています。

二つ目のInstagramに関してはビジュアルメインで伝わるようなものを得意としており、パッケージが映えるような商品はInstagramとの相性が良いです。年齢層は20代女性が最も多く、特に女性向けの商材は良いプロモーション効果が期待できます。

次に紹介したいのはTikTokです。TikTokでも10分の長尺動画をアップすることは出来るのですが、現在は数十秒から3分程度の短い動画が主流です。TikTokは数分の短い間で起承転結があるものや、日常的な一コマを切り取ったような動画が特徴的です。他のSNSと比べてレコメンドから投稿を視聴することもTikTokならではです。

Xについては、今まではXだけで活躍するインフルエンサーって少なくて、別のSNSで人気だった人がXでもタイアップ投稿を行ったり、SNSキャンペーンと組み合わせたりということがよく見られました。投稿できる文字数が少ないことからそういった使われ方が多かったのですが、最近のアップデートでは、Xプレミアムに加入することで投稿換毛な文字数が大幅に増加していたり、人気の投稿者には収益分配が行われるようになったりしているため、今後はXでの活動がメインになるインフルエンサーも登場してくるかもしれませんね。

上記の四つが日本では主力なインフルエンサーマーケティング市場ではあるのですが、最近はThreadsも登場して注目度が上がっています。ですが、運用型の広告機能がまだ登場していません。Threadsのインフルエンサーマーケティング事例は日本ではまだないのですが、海外では見られているところがあります。
ここからは予想ですが、Threadsが始まったことによって他のSNSの様々なインフルエンサーがThreadsに参入していますが、フォロワー数の比率などを見ても、インフルエンサーのコアファンだけがアクティブであるのかなという印象を受けています。今後オリジナルの機能等、Threadsならではの文化が出来れば、またインフルエンサーマーケティングの市場も変わっていくかもしれませんね。

インフルエンサーのPR投稿を通じた影響力調査レポートから見るポイント

ー今回の調査レポートから、インフルエンサーマーケティングのトレンドや注目ポイントを教えてください

はい。最初に調査レポートの概要からお伝えさせていただきたいのですが、今年(2023年)の6月にPR投稿の影響力に関する調査を実施しました。10代から50代の男女200名ずつを対象にインフルエンサーや芸能人のPRとその後の消費行動にどういった影響を与えているのかを調査したものになります。この調査レポートを使って、トレンドや注目のポイントをお伝えできればと思います。

まず、過去一年間でどれくらいの頻度でインフルエンサーや芸能人まとめアカウントによるPR投稿目にしましたか?という質問に対して、週に1回以上見ている人が65%と半数を超えている状態です。かなりの頻度で消費者は日常的にPR投稿を目にするようになってきています。

ではどのような商材のPR投稿を目にすることが多いのか、商材カテゴリーで答えてもらったところ、一番はコスメ・化粧品が非常に多い結果となりました。他には家電やデジタルガジェット、日用品も多くなっており、飲料食品系や健康食品も目にする頻度が高くなっています。ここで注目したいのは飲食店です。アフターコロナで行動制限が緩和され、オフラインへの回帰がしっかりと反映されています。

次に、PR投稿を見た後の行動を調べたところ、サービスや商品を購入したことが1回以上ある人は全体の45%以上となりました。昨年の調査では35%となっており、PR投稿を見てから購入した経験がある人は増加傾向です。

次にお見せしたいのが、PR投稿を見て商品やサービスに興味を持った後にとったことのある行動の調査データになります。
全体的にはコメントや概要欄に書かれているリンクをクリックする人が多いのですが、10代や20代は、保存機能や、高評価・いいねなどSNS機能を使って後から見返せるようにするといった傾向が見られます。逆に40代や50代は検索エンジンで検索したり、公式サイトでのレビューを見たりなど、外部サイトの機能を使う傾向にあります。

もう一つが、PRを見てから購入に至るまでどれくらいの期間があったのかという質問。PRを見て2,3日もしくは1週間ぐらいというの回答が多くなりました。PR投稿を見てからすぐにリンククリックをして買う人は多くないため、期間も考慮したうえでマーケティングの戦略をたてなければならないことが伺えます。

PR投稿に対しての情報の信頼度を調査したところ、インフルエンサーの通常投稿とPR投稿を比較した情報の信頼度はどう感じるのかといった質問では、PR投稿信頼性は高まる、または変わらない、と回答した人は全体の64%もいました。PR投稿だからと言って情報の信頼には影響しない傾向が強いことが伺えます

しかしながら、PR投稿の内容に怪しいと感じたことがあるかを質問し調査したのですが、PR投稿を怪しいと感じたことが一度、もしくは複数回あると答えた人は87%にも上りました。
消費者はPR投稿であること自体が信頼度に影響するわけではないが、怪しいPR投稿を見たことがある人は多くいるということになります。

消費者がPR投稿に不信感を感じないようにするには

ー消費者がPR投稿に不信感を感じたことが一度はあるというのは、どういった理由があるのでしょうか。

怪しいと感じたPR投稿の理由を調査したところ、インフルエンサーのことを知っているが知らない商材の紹介だった、もしくはインフルエンサーの普段の投稿とスタイルが異なっていたというのが多い回答になりました。

まず二番目に多い、「インフルエンサーの普段の投稿とスタイルが異なっていた」ですが、これはインフルエンサーのいつもの構成ではないことや、発言を言わされている感が消費者にも明確に伝わってしまった結果です。こちらの調査では自由回答もありましたが、「過剰に褒めていた」、「一斉に同じ投稿をインフルエンサーがしていて怪しかった」というような回答も見られ、普段の投稿との違いは消費者にも伝わることが分かります。

一番目に多かった理由である、「インフルエンサーのことを知っているけど知らないブランドの商材だった」というのは、言葉そのまま受け取ってしまうと、インフルエンサーマーケティングが得意とする認知獲得に反する結果となってしまいます。かみ砕いて別の理由を推測すると、そもそもインフルエンサーと商材の相性が良くない、普段と違うような行動をしているように見えるだとか、インフルエンサーの意思で発言しているように見えない等、様々な理由から感じる「なんとなくの違和感」からではないかと。
あとは、商材だったり商材の業界自体がグレーだったりとネガティブなイメージが多いと、そもそもの不信感を与えてしまいますね。

調査レポートのポイントのところだと以上になります。

ーありがとうございます。不信感を与えないようにしつつインフルエンサーマーケティングを行うにはどういったポイントに気をつければいいでしょうか?

不信感を与えないようにするためのポイントは大きく分けて3つあります。

まず、消費者目線を大切にする事。消費者目線で見て商材とインフルエンサーが合っているのかというところですね。フォロワー数やリーチ数、エンゲージメント率等の定量的なものから判断することもすごく大切なのですが、それだけではなく客観的に見る視点も大事なってくると思います。

二つ目は、どのインフルエンサーを起用するかが決まった後に、インフルエンサーに商品やサービスのことを理解してもらうことです。すでに有名なブランドであったとしても、「今回はこういった商品で、こういった良いところがあります」ということを、インフルエンサーに丁寧に伝えて理解してもらうことはすごく重要です。

三つ目は、投稿内容ですね。ハッシュタグだったり、伝えてほしい内容だったりをインフルエンサーの方に依頼が出来ますが、その指示が多く細かくなってしまうとインフルエンサー本人の良さが失われて、普段の投稿スタイルから離れていってしまい、結果的に消費者が不信感を感じてしまう事に繋がってしまう。
なので、インフルエンサーの投稿スタイルを崩さないように考慮しながら、NGワード等を伝えたり、ステマ行為等をやらないように伝えたりすることが良いのではないかと思います。

10月からはじまるステマ規制について

THECOO株式会社 阿部さん

ー先ほど、ステマというワードが出てきましたが、10月からステマ規制が始まります。企業側はどうすればいいのでしょうか?

国や地域によって異なりますが、アメリカやEUでは何年も前からステマに対する規制が行われていました。日本も10月1日の法改正によって、ようやくステマに対する明確な規制が行われることになります。

まずステマとは何か。
ステルスという言葉は隠密性や密やかな行動という意味ですが、ステルスマーケティングは広告宣伝を広告と分からないようにやることを指します。
10月1日から始まるステマ規制は、厳密には景品表示法の第五条の第三号の規定にある不当な表示の禁止に基づくものです。この不当な表示というのは「一般消費者が事業者の表示である事を判別することが困難である表示」と指定されています。
簡単に言うと、企業が第三者にお金や商品を渡して紹介してもらったときに、それが広告ですと表示していないものを規制するという事です。規制されるもののポイントとしては情報発信する内容に企業が関与しているかどうかです。単純にサンプルなどの商品を受け取った第三者が自分の意見や感想としてSNSに投稿したという場合は規制対象になりません。

テレビCMであれば広告だと分かりやすいと思うのですが、SNSでは広告だと分かりにくい。だからステマ規制しましょうとなったのですが、では企業はどうすれば良いのか。
これは、広告だと分かるようにすれば良いというのが結論です。第三者に商品を紹介してもらうことは別に悪いことではないし、表示方法に気を付ければ宣伝しても良いとなっています。消費者庁の方も、クリエティブを阻害するつもりはないという話もされていました。

ステルスマーケティング規制はインフルエンサーマーケティングやアフェリエイトにフォーカスが充てられています。これまではそういうところを規制できなかったという背景があったので、特に対象としていますね。

ー規制されている中で、具体的には広告をどのように表示していけばよいのでしょうか?

企業が広告だと分かりやすく表示すれば良いと言われていますが、実際にはどのように表記すれば良いのか。こちらに関しては、規制には具体的な記述がほとんどありません。

そこで、一般社団法人クチコミマーケティング協会が作成しているWOMJガイドラインが参考になります。WOMJはクチコミマーケティング業界の健全なる育成と啓発を目的に活動しており、THECOO株式会社も加入しています。今回のステマ規制に合わせWOMJガイドラインも改訂される予定になっており、その内容をオンラインで確認することが可能です。
新しい規制の中で明確に書かれていないものでも、このガイドラインに沿って広告であるということを示していけば基本的には問題ないとなっています。

ーありがとうございます。規制に引っかかった場合はどうなりますか?

意図的かそうでないかに関わらずステルスマーケティングをやってしまい、規制対象になった場合、どうなってしまうのか。これは、日本においては広告主である企業のみが罰則の対象となります。

例えば、起用したインフルエンサーが「関係性の明示」をせずに勝手に投稿したとしても、依頼主である企業が罰則の対象になります。
インフルエンサー本人、また仲介する広告代理店も、罰則の対象にはなりません。そのため、広告主がしっかりと把握しなければなりません。

また、規制は10月1日から始まるのですが、規制対象には10月1日よりも前に行ったものも規制対象に入ります。これまでにインフルエンサーマーケティングを実施したことがある企業はステマになってしまっていないか今一度見直しておくのが良いと思います。

ー本日はお忙しい中ありがとうございました!

THECOO株式会社とは

THECOO(ザクー)は2014年1月創業以来「『できっこない』に挑み続ける」をビジョンに掲げ、一般ユーザー向けのファンコミュニティプラットフォーム「Fanicon」の提供を行う「Fanicon事業」及び、クライアント企業向けにインフルエンサーを用いたマーケティング施策支援やオンライン広告コンサルティングを行う「デジタルマーケティング事業」を展開しております。エンタメ市場における「個」にフューチャーするプラットフォーマーとして、クライアント(広告主)、ユーザー(ファン)、インフルエンサー(アイコン)を繋ぐ三方よしのエコシステムの構築に尽力しています。

プロフィール

THECOO株式会社 吉田さん

THECOO株式会社 マーケティング部 吉田 沙織

オンライン広告のアカウント運用や実店舗向け広告サービスの日本ローンチに従事。2014年にTHECOOへ入社後、オンライン広告運用やファンコミュニティアプリ「Fanicon」のカスタマーサクセスを担当。現在はTHECOOのマーケティング担当として日々活動中。

THECOO株式会社 阿部さん

THECOO株式会社 マーケティング部 阿部 孝裕

2007年までヴィジュアル系バンドのギターとして活動。 2010年よりGoogle社にて地方消費財メーカーを中心に広告の新規開拓を行う。その後、2014年にTHECOO株式会社へ入社。インフルエンサーマッチングプラットフォーム「iCON CAST」、ゲーム実況者プロダクション「Studio Coup」の立ち上げに携わり、現在はマーケティング部としてウェビナーを中心としたインフルエンサーマーケティングに関わる情報を幅広く発信。

関連リンク

THECOO株式会社
【調査レポート】THECOO、インフルエンサーのPR投稿を通じた影響力に関する調査を実施 ー10~30代の半数がPR投稿を見て購入経験あり・ 投稿の信頼度を高める鍵は『インフルエンサーと商材の親和性』ー

当ウェブサイトでは、サイトの利便性向上を目的に、クッキーを使用しております。
詳細はプライバシーポリシーをご覧ください。また、サイト利用を継続することにより、クッキーの使用に同意するものとします。
同意する