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【第2回】Peatix共同創業者/CMO 藤田祐司氏に聞く、これからのコミュニティマーケティングとコミュニティの活用方法

時計2022.06.13

更新2022.06.23

Peatix Japan株式会社

コミュニティの継続「安心感」「主体性」 個の重要性

最初に少人数で始めることでコミュニティの空気感が出来上がりやすくなると思いますが、そこからコミュニティが大きくなっていったときに、その空気感や熱量を継続することもまた違う大変さがあると思います。どういったことに気を付ければよいでしょうか。ノウハウ的なところもそうですし、全員が同じ方向を向くマインドを作る方法などがあれば教えていただきたいです。

様々なコミュニティに関わらせていただいていますが、皆さん試行錯誤されている中で一番わかりやすくていいなと思ったのが“ルール”を決めることです。ルールと言ってもあまり細かくない方がいいとは思いますが、ある程度「このコミュニティでこういうことはしちゃダメですよ」というようなことです。

例えば、「営業活動・強い売り込みはやめてください」「そのようなことが続くようであればこのコミュニティを出ていってもらいます」というルールがきちんと明記され、共有されているコミュニティがあります。

「あ、こういう場所だったら居てもいいな」と思えるようなルールがみんなが見られる場所に明記されていて、入るときにそのルールを理解して入る、というステップを踏めば、心理的安全性が高いコミュニティになっていくと思います。

他には、コミュニティ内のメンバー同士が平等な関係であることや、コミュニティが目指しているものは何なのか、というビジョンが明確になっていること、さらにはメンバーの方が能動的に活動できる環境があることも、コミュニティを活性化するために大事なことだと思います。

コミュニティは一つのかたまりですが、その前提としてはやはり個が一番大事だと。

そうですね。個がフラットに繋がっていることが非常に重要だと思います。

「保温」と「加熱」アフターコロナのイベント運営

最近は世間の規制も緩和されてきている雰囲気がありますが、コミュニティの集まりの形態など変わってきている流れはありますか?

長らくオンラインイベントが大半を占める時期が続いていましたが、外出の規制が緩和されるにつれ、徐々にオフラインのイベントが増えてきています。まだコロナ禍前ほどの数ではないですが、やはり数か月前と比べると明らかに多くなっていることがデータでも示されています。

徐々にオフラインイベントに切り替わっていくかと思いますが、オフラインに切り替わるときに、切り替えるのが怖い、時々で情勢が変わることで難しいと感じる、といった主催者側からの声もあるのではないでしょうか。

昨年までは私も、オフラインイベントを開催する際にはソーシャルメディアでの大々的な告知は控え、既に繋がりのある人にダイレクトメッセージを送るという集客方法を取っていました。当日も、イベントの写真をSNS等でアップすることは控えていましたし、やはり気を遣う部分は多かったかなと思います。

一方で最近は、「今回はハイブリッドでやります」「会場も用意しています」と明記して告知するイベントを目にするようになったので、だいぶ緩和されてきたのかなと。

それでもまだ、いつ感染者数がバッと増えて「あ、やっぱりちょっと今怪しいね」という空気になるかはわからないのが難しいところです。オフラインイベントは、3週間〜1か月前から情報を公開することが多いので、そうすると「一か月後ってちょっとわからないよね」とイベント開催をためらうことは正直あると思います。

オフライン開催を基本線としつつ、念のためバックアップとしてオンライン配信を準備する、などで対策をとるイベントも少なくはありません。

ですが、今少しずつオフラインでのイベントをやり易くなっていることは確かだと思います。

今後はこれまでよりもオフラインが増えて変わっていくのではないか、と。

そうですね、オフラインは今よりは絶対に増えると思いますし、オンラインとオフラインの両方を上手く活用していくイベントも増えるのではないかなと思います。

アフターコロナにおいてどのようにコミュニティやイベントは変化していくと思われますか。

今後、特に企業の活動においては、オンラインは絶対に残っていくと思っています。

エンタメや音楽などのジャンルのイベントはオフラインにぐっと振っていくと思いますが、ビジネスの世界においては、それぞれの役割をうまく活用するように、オンラインとオフラインが共存していくと考えています。

やはりオンラインにはオンラインの良さがあります。どこからでも参加でき、参加のハードルが低いので、特にサービスに初めて触れてもらう入り口としては凄く活用しやすいと思います。

一方オフラインの良さは、リアルに集まることによってグッとエンゲージメントが高まることだと思います。誰かに会えた、とか、主催者と実際に会って話した、のような体験や出会いが価値として残ります。

それを踏まえると、コミュニティを醸成していく上では、オンラインには”保温”の役割があると思います。温度が下がらないように接点を作っていく、最初の入り口になるということです。そしてオフラインの役割が”加熱”。グンとエンゲージメントが高まって、コミュニティが温まるというイメージです。

例えば3か月に1回のみのオフラインイベント開催だと、熱量がグンと上がって・ストンと下がって、の繰り返しになりますが、間に適宜オンラインイベントを入れていくことで、オフラインで上がった温度を一定に保って、少しずつ右肩上がりに熱量を高めていくことができます。

その“保温”と“加熱”のバランスを考えると、オンライン・オフライン共にすごく重要な役割を果たすのだと思います。保温と加熱の表現はすごくいいですね。

このコミュニティの保温と加熱の話は以前、西村創一朗さんと対談した時に西村さんが仰っていて、「なるほど!とてもわかる!」となりましたね。

「人もテーマも常に新しい変化を」イベントの差別化

オンラインのイベントは開催がしやすい一方、その分イベント数が増えることで集客に苦労する企業様も多いと聞いています。差別化など何かできる対策はありますか。

おっしゃる通り、特にこの2年で“ウェビナー”を中心とするオンラインイベントの数は急激に増えました。

オンラインイベントが主流になり始めたばかりの2020年の時点では、オンラインイベントの珍しさと参加しやすさから、まだ集客しやすい状況だったと思います。ですが、半年、1年が経過した頃にはもう「急に集客が難しくなってきたな」という感覚を企業の方たちも持ったと思います。今もなおイベントの数がものすごく増えているので、やはり差別化が必要になってきます。

そもそも参加者となる方はイベントページを見て参加するかどうかを決めると思うのですが、「なんのために」「誰を対象に」やるイベントなのか、「ここに参加すると何を得られるのか」がページを一目見てわからないと、基本的にはそのイベントへの参加は見送られてしまいます。もの凄く情報が溢れている時代なので、その一瞬のアイキャッチで「あ、なんか面白そう」「今申し込んでおこうかな」と思ってもらえるかが重要です。

例えばカバー画像やイベントのタイトルの工夫。そこの重要性はオフラインイベントでも変わらないのですが、競合となるようなイベントの数が増えている分、よりしっかりと考える必要があると思います。

また、イベントを開催するごとにターゲット・テーマを変えていくことも重要です。毎回同じテーマでイベントをやり続けてしまうと、「ああ あれね、またやってるね」となってしまう。自分たちの潜在顧客層の中でもどのような人たちに向けて、どのようなテーマでイベントを開催するのか、明確に設定することをおすすめします。なんとなく「最初にイベントをやったら結構集まったから」と同じ内容のイベントを繰り返していると、徐々に先細りしていくことは目に見えています。

企業側からすると同じことを繰り返すほうが楽なので、一回勝ち筋が見えるとどうしても繰り返したくなってしまうのですが、毎回テーマをしっかりと考えて少しずらしていくことが大事ですね。

これは特にオフラインイベントの話になりますが、ページ上でイベントの様子を画像で見せることもおすすめです。すでに何回かイベントを開催しているとしたら、前回の様子を画像として出すこと。

初めて参加するイベントは少し不安に思われる方も多いと思うのですが、イベントに参加している様子、会場の雰囲気が写真でわかると、「大丈夫そうだな」「行ってみようかな」と安心できると思います。特にコロナ禍で人と会うことに抵抗を感じるようになっているので、今まで以上に気を遣って情報をクリアに見せていくという配慮がポイントになっていると思います。

目に見えるっていうのは大事ですし、内容を変えていくということも「このコミュニティは新しいことしているのだな」ということもわかるので参加度は増えそうですね。

ずっと同じテーマで話していると、参加する人も同じ人が集まるようになってきて、そうするとコミュニティが硬直化してしまうんですよね。

コミュニティが“内輪”になっていくと、新しい人は入りにくくなってしまう。よく町にある居酒屋さんのようなもので、ものすごくローカルな雰囲気だと入ることに抵抗を感じるのと同じ感じです。

もちろんコアなファンも必要なのですが、新しい人が入る余地がなくなるとだんだん面白味もなくなっていき、「じゃあそろそろ3か月に1回でいいか」「1年に1回でいいか」となり活動が縮小していくケースも少なくありません。いかに新しいメンバーに来てもらうかを考え、イベントのテーマを含めて工夫してみると良いと思います。

新しい人が入ってくるかはとても大事ですよね。

大事なんですよね。面白い出会いも増えますし、「あ、また行ってみようかな」と思ってもらえると思うので、リピートも増えますし。さらにコアなファンになってもらい、そのコアなメンバーが新しく入られた方たちをフォローしていく、という流れが生まれることが理想です。そうすることで、“持続するコミュニティ”が出来上がっていくのではないかなと思います。

次へ続く

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