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Adjust 日本ゼネラルマネージャー 佐々直紀氏に聞く、コネクテッドTV広告をマスターする方法

時計2022.02.07

更新2022.04.29

【Adjust】コネクテッドTV広告をマスターする方法

adjust株式会社

Adjustは、モバイルマーケティング分析プラットフォームです。アプリの持続的な成長を目指す世界中のマーケターから信頼されており、広告キャンペーンの効果測定と最適化、ユーザーデータを保護するソリューションを提供しています。

Web広告・マーケティングのいまをお届けするsyncAD(シンクアド)インタビュー第17弾は、前回に続きAdjustの日本ゼネラルマネージャーとして、日本オフィスを統括する佐々直紀氏に「コネクテッドTV広告をマスターする方法」について寄稿いただきました。

CTVは過去10年間の常識をはるかに超えたアプリマーケティングの機会を提供

この2年間、コロナ禍の影響で自宅で時間を過ごす人々が増加し、それに伴いコネクテッドTV( Connected TV、以下CTV)を利用する人々も大幅に増加してきました。CTVとは、インターネットに接続されたテレビやスマートテレビ、またはストリーミングデバイスをテレビに接続して、オンラインメディアコンテンツを表示するデバイスです。SMNによると、2021年の日本のCTV広告市場は175億円の見通しで、2024年には558億円と、3年間で3倍以上の成長が見込まれていると予測しています。

CTVの利用が増加するということは、2つのことを意味しています。1つ目は、人口の大部分は少なくとも従来のテレビとCTVを組み合わせて利用しているということです。2つ目は、ますます多くの消費者(特に若い年齢層)がインターネットだけを介してテレビを見るようになるということです。さらに、インターネットのコネクティビティは、エクスペリエンスやフォーマット、双方向性の点で、テレビの可能性を無限に広げます。元来テレビは家の中心にあるものだったこともあり、今後は今まで想像もできなかった方法で、さまざまなエンターテインメントのオプションが登場するでしょう。

モバイル広告主にとっても、CTVは過去10年間の常識をはるかに超えたアプリマーケティングの機会を提供します。では、CTVの施策活用をどのように始めたらいいのでしょうか?効果をどう評価し、今存在する手法を検討したらよいでしょうか?

CTV広告のバイイング

CTV広告を購入するモバイルマーケターは、他のバイヤーより有利なスタートを切っていると気づくでしょう。eMarketerの調査によると、2021年のCTVインベントリーの少なくとも60%がプログラマティック方式で販売される予定です。

それでも、CTVのインベントリーバイイングは別の話です。 WarnerMediaやDisneyなどの主要なコンテンツ所有者は、必ずしも自社でインベントリーを販売しているわけではありません。自社で販売している場合でも、必ずしもプログラマティックに販売するわけではなく、プログラマティックに販売したとしても、オープンエクスチェンジを提供する可能性はわずかです。実際のところ、 Discoveryのプログラマティックトランザクションの90%は、プライベートマーケットプレイスで行われています。

インベントリーサプライヤーの性質も大きく異なります。Huluなどの一部のストリーミングサービスには独自のDSPもしくはデマンドサイドプラットフォームがあり、自社のインベントリーを販売しています。Samsung Adsなどのデバイスサプライヤーもインベントリーを販売していますが、主に直接取引で販売しています。Rokuは、Rokuチャネルを使用したストリーミングサービスとしてのデバイスサプライヤーであり、直接取引とプログラマティックなオープンエクスチェンジの両方でインベントリーを提供するハイブリッドケースです。The Trade DeskやXandrなどの大手DSPもCTVインベントリーを提供しています。

モバイルマーケターが選ぶべきサプライヤーは、ブランディング、ユーザー獲得、継続率など、どの指標に注力するかによって異なります。CTV広告の経験があまりない場合は、すでに慣れているDSPから始めるのが良いでしょう。日本ではポピュラーなTVerはXandrから配信することができますし、ユーザーの多く集まるABEMAも注目すべきサプライヤーです。

Adjust 日本ゼネラルマネージャー 佐々直紀氏に聞く、コネクテッドTV広告をマスターする方法

オーディエンスターゲティング

CTVキャンペーンで対象のオーディエンスにアプローチする方法はさまざまなものがあります。おそらく最も実装が簡単なオプションは、コンテクスチュアルターゲティングです。CTVにおいて適切なコンテクスチュアルターゲティングを行うために、モバイルマーケターは、あらゆる大手インベントリーサプライヤーと統合して高品質のコンテクスチュアルデータを提供する企業を活用することができます。

CTVのコンテキストで真剣に検討すべきもう1つのアプローチは、クロスデバイスターゲティングです。視聴者の約90%はテレビを見ながら携帯電話を使用しています。特定のCTVオーディエンスセグメントに対して広告を配信し、同じオーディエンスのモバイルデバイスでも広告を配信してフォローアップすることで、「デュアルスクリーニング」と呼ばれる視聴者の習慣をうまく活用できるのです。これにより、潜在的な顧客が視聴したものに基づいて行動できるようになるだけでなく、 CTV広告の影響についてより深く把握することが可能になります。マーケターは、CTVとモバイルインベントリーの両方を備えたDSPを使用して、クロスデバイスオーディエンスターゲティングを設定できます。

キャンペーン計測

CTVはマーケターに多くの機会を提供しますが、このチャネルの計測は依然として断片的で、さまざまな問題が残っています。さらに、業界標準が規定されたのは、つい最近に過ぎません。モバイルマーケターにも計測における特定の課題があり、その中で最も大きいものがデバイス間のギャップです。 CTVキャンペーンの計測では、基本的には、モバイルデバイス上のCTVデバイスで発生した何らかのインパクトが計測されます。

では、マーケターが選択できるオプションについて1つずつ見ていきましょう。

DSP

前述のDSPは、通常マスターサービス契約以外に追加のコストがかからないため、計測のスタート地点としておすすめです。XandrまたはRoku OneViewでキャンペーンを実施している場合、
キャンペーンの成果に関する豊富なデータに即時アクセスできます。多くの場合、アプリインス
トールとインストール後のイベントに関する自社データをDSPにインポートして計測の精度を高め、ターゲティングを改善することができます。

DSPを計測目的で使用することのデメリットもあります。自社が売っている製品を評価するようなものであることは明らかですが、DSPのさらに大きなデメリットは、自社のインベントリーのデータしか提供できないということです。つまり、モバイルデバイスで実施されたキャンペーンは言うまでもなく、このサプライヤーを使用したCTVインベントリーのパフォーマンスを他のCTVキャンペーンに関連付けることはできません。

TVアトリビューション企業

リニア(従来のテレビ広告)に対する需要は、欧米にてVisual IQやTVSquaredを始めとする多数のTVアトリビューション企業を生み出しました。これらの企業の多くはCTVに投資してきており、堅牢な計測ソリューションを提供することができます。しかしDSPと同様に、TVアトリビューション企業が提供するデータはCTVキャンペーンに限られます。そのため、CTV広告などの分析はできますが、他に実施しているキャンペーンのコンテキストでは分析できません。

TVアトリビューション企業のもう1つのデメリットは、他のキャンペーンのCTV広告のアシスト力に関するデータを提供できないことです。たとえば、FacebookでCTVキャンペーンと一緒にキャンペーンを実施している場合、Facebookを介して獲得したユーザーのセグメントに対してCTV広告が表示されます。キャンペーンをより高度に分析するには、このセグメントと他のセグメントの違いを理解し、「Facebook経由で獲得したユーザーの中で、さらにCTV広告を見たユーザーは、アプリ内でより多く課金しているか」または「CTV広告を表示したユーザーの保持率はどれくらいか」などの点を明らかにすることが重要です。

モバイル計測プロバイダー

上記のような点を明らかにするには、コネクテッドTVキャンペーンのアトリビューションが可能で、マルチタッチキャンペーンデータを無制限に提供できるモバイル計測プロバイダー(Mobile Measurement Provider、以下MMP)と連携する必要があります。すべてのマーケティングチャネルにわたってコンバージョンに成果を割り当てられるのはMMPのみであるため、マーケティングミックス全体のコンテキストでCTVキャンペーンの価値を理解することができます。

しかし、すべてのMMPにアトリビューションの手法とそれを可能にする連携技術がある訳ではないため、選択は慎重に行う必要があります。繰り返しになりますが、CTV広告を使用する最初の段階では、多くの場合、インベントリーサプライヤーから提供されたデータを紐解くことができれば十分です。

スマートフォンが携帯電話に対する考え方を変えたように、近いうちコネクテッドTVもテレビのあり方を変えるでしょう。そして、この成長著しいメディアを活用できるマーケターが、市場を勝ち抜いていくのです。

Adjust 日本ゼネラルマネージャー 佐々直紀プロフィール

佐々 直紀(さっさ なおき)

adjust 佐々直紀

■ドイツ発のモバイルアプリ計測プラットフォーム”Adjust”の日本ゼネラルマネージャーとして、日本オフィスを統括
■多くのスタートアップを立ち上げから軌道に乗せた経験を持つ
■アプリ広告の計測に関して深い知見を持つ第一人者

1974年生まれ。2000年4月からデジタルマーケティングに携わり、オンラインモールのキュリオシティ、Yahoo!ショッピング、ショッピングサーチビカム、リターゲティング・DMPのVizuryにてAE、AM、マーケティング業務を経験。2016年1月からTUNEの日本法人の立ち上げメンバーとして、本格的にアプリ計測分野に参入、2016年11月よりAdjustに参画。数々のスタートアップの立ち上げから軌道に乗せた経験を生かし、日本ゼネラルマネージャーとしてAdjustの日本オフィスを統括している。

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adjust株式会社
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