5Gで広がるライブコマースの可能性

ブライトコーブ、5Gで広がるライブコマースの可能性

5Gで広がるライブコマースの可能性

連載第1回の記事では、5G時代の到来によって動画広告がどのように変化していくのか、その展望をご紹介した。

動画広告市場が拡大していくのは間違いないが、その主役はスマートフォンなどの常に手が届く端末になるだろう。政府主導により進んだ携帯料金の値下げや、データ容量の無制限プランが標準化することによって、消費者は通信制限を気にせずにいつでも動画を視聴するようになる。5G時代は日常の様々な場面のなかに、動画が入り込んでいくことになるだろう。

データ容量の無制限化で動画が当たり前になることで、発展が期待される市場がライブコマースだ。5G時代以前より期待されてきたが、生活に根ざしているとはとても言えないのが現状だ。

ライブコマースとは、ライブ動画で商品を紹介することで購買につなげる販売方法のこと。日本国内でも、古くから楽天市場のようなECモールプラットフォームはもちろん、近年も資生堂や三越伊勢丹、パルコなど店舗での接客が中心となっていた企業からも参入が進んでいる。

4GによりYouTubeのようなインターネット動画は、若者だけのものではなくなった。今や幅広い層に向けたチャンネルがYouTubeに多数存在する。ライブ動画についても
5Gが一般化することで、今以上に消費者は視聴するようになる。そうなったとき、ライブコマース市場はどのような発展が見込まれるだろうか。

中国・韓国はライブコマース先進国

すでにライブコマースが巨大な市場を形成しているのが、中国と韓国だ。

2020年の中国におけるライブコマースの流通は約15.4兆円。2021年には約19兆円規模になると予想されている。

中国では、KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれるインフルエンサーを活用した販売が主流となっている。有名なKOLである「口紅王子」こと李佳琦(Austin)氏は、1万5000本もの口紅をわずか15分で売り、日本でも話題となった。しかし必ずしもKOLによる販売が、企業の採算につながるわけではないようだ。出演料の高騰や、割引販売による利益率の低下といった課題もある。

中国においてライブコマースが発展している理由のひとつには、電子決済が広く普及していることが挙げられる。特にAlipayやWeChat Payのようにシェアや普及率は高くEコマースにおける決済がスムーズに進行する。

Alibabaが毎年11月11日に行う「独身の日」キャンペーンでは、1日の売上が12兆円規模(2020年)にも上っている。こうしたことも、中国においてライブコマースが盛んな背景にあるといえるだろう。しかし、日本との人工差により、中国における成功事例をそのまま日本に適用することが難しいと考える人も多いだろう。

ブライトコーブ、5Gで広がるライブコマースの可能性

それでは、日本より人口の少ない韓国の市場に目を向けてみると、同国においてもライブコマース市場は盛り上がりを見せて、2023年には9,000億円規模に成長するという予測もある。
韓国のEC大手であるTMONでは、30代の主婦層にターゲットを絞り、オムツなどの育児用品を集中してライブコマースで訴求した。コア層からの口コミが広がり、「TMONのライブコマースでは安く買える」という印象を定着させることが成功につながった要因という。

韓国では日本と同様、テレビショッピングが広く普及している。「この価格で買えるのは今だけ」「今ならポイントがつく」など限定感を演出して購買を促す手法は、テレビショッピングの経験から引き継がれたものだ。

日本でもライブコマースは普及するのか

日本ではまだ、中国や韓国のようにライブコマースが普及しているとは言えない。様々な企業がライブコマースに挑戦した歴史を振り返ると、海外の事例をそのまま模倣しても、日本国内でライブコマースを成功させることは難しいだろう。成功の背景にある要因を分析し、それを日本の消費者文化に当てはめることが成功へのカギとなる。

また、ライブコマースの定着に必要な要素は、気軽に動画を視聴できることや、前述の電子決裁などの環境面も重要だ。

動画視聴環境については、中国や韓国では都市部ならほとんどどこでもWi-Fiが利用できるという状況がある。日本ではWi-Fiの利用可能な店を探して入らなければならないことを考えると、これは大きな違いだ。ライブ動画を視聴すればデータ容量を多く消費する。また、携帯の通信費も日本に比べ安価だ。外出先でもギガ死を気にせずインターネットを利用し動画視聴できることが、中国や韓国のライブコマースの伸びにつながっている。

また、決済手段については、中国ではシェアのほとんどを「Alipay」「WeChat Pay」の2つが獲得している。このことがライブ視聴からのスムーズな購入の助けになっているようだ。

日本では様々な電子決済サービスが乱立しており、クレジットカードの普及率も若年層の間では決して高くない。プラットフォームに電子決済サービスをひとつ準備すればそれでOKという状態が実現しにくく、消費者にとっても事業者にとってもEコマースの利便性が低いのだ。

このように、日本市場はライブコマースにとって決して十分な環境とは言いがたい。そうしたなかでも、昨年からコロナ禍でリアルな接客ができない企業がライブコマースに参入している。これまでのライブコマースとアプローチ方法が異なるのは、必ずしも販売することを最重要事項としていない点だ。ブランドへのエンゲージメントが高い、ロイヤル顧客とのコミュニケーション手段としてライブコマースが利用されている。
これは、成熟している日本市場において、消費者が物的だけではなく精神的な繋がりを求めており、購買プロセスがモノからコトへと変化していることが理由かもしれない。

一方、LINE LIVEや 17LIVE、YouTubeライブなどで芸能人やインフルエンサーがライブ配信を行い、そこで視聴者が「投げ銭」を送る文化は普及している。
また、韓国と同じように、日本にはテレビショッピングの文化が浸透している。今後、インターネットライブ動画を視聴することが、幅広い層で習慣化することで、日本モデルのライブコマース市場が拡大する素地は十分にあると言えるだろう。

また、この数年で日本でもデータ容量を気にせず通信できるahamo(NTTドコモ)、povo(au)、LINEMO(ソフトバンク)といった格安スマートフォン料金プランも続々と発表されている。電子決済に関しては、PayPay などのQRコード決済が普及拡大していることにも注目したい。

5GやWi-Fi環境の普及や、電子決済サービスの簡便化が進んでいくことで、ライブコマース市場は日本でも伸びていくだろう。課題は多いが、各企業の取り組みに注目したい。

著者プロフィール

ブライトコーブ株式会社 マーケティング マネジャー 大野耕平
ブライトコーブ株式会社 マーケティング マネジャー 大野耕平
大手独立系Slerにてソリューション営業を10年経験後、2016年にブライトコーブ入社。

3年間の営業職を経験した後、19年より現職。様々な角度で企業における動画活用の啓蒙に注力し、様々なイベントやメディア取材で講演をしている。
また、日本における大企業内での社内広報や従業員エンゲージメントにおける動画活用の提案も多数実施している。

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