電通ジャパン・インターナショナルブランズ、広告視聴のアイトラッキングデータに基づいたアテンション調査レポート「広告効果における新指標:アテンションエコノミー]発表
2024.10.28
2024.10.28
日本の広告市場におけるモバイルユーザーのアテンションを最新技術で計測アテンションの高さとブランド認知の相関関係が明らかに
電通ジャパン・インターナショナルブランズ*(ブランド:「電通ジャパン・インターナショナルブランズ」、本拠地:東京都港区、代表者:堀尾 尚弘)は、Mobkoi、 Ogury、Teads、Twitchなど主要プラットフォーム各社(順不同)と提携し、Lumen ResearchおよびRealeyes(順不同)の調査チームと共同で、デジタル広告における「アテンション(広告への関心・注目度)」がブランド想起、エンゲージメントおよび選択におよぼす影響を検証する目的で、最新のVision AIと視線計測技術を用いた大規模調査を実施しました。
*電通ジャパン・インターナショナルブランズは日本においてカラ・ジャパン株式会社、アイプロスペクト・ジャパン株式会社、dentsu X Japan株式会社、電通インターナショナル・ジャパンオフィス株式会社で構成されるブランドです。
2019年に米国・英国・豪州で実施されたdentsuの「Attention Economy(アテンションエコノミー)」調査発表を経て、議論・検討を重ね、このたび日本を対象としたアテンションエコノミー調査レポートが完成しました。
本調査では、デジタル化が加速する昨今の広告業界において、従来優先されていた効率性に代わり、有効性をより重視する新たな価値体系から発生した新たな指標「アテンション」を定義しました。アテンションの獲得がキャンペーン効果に直接影響することを実証しています。
調査方法
アテンションを「能動的」「受動的」「なし」の3つのタイプに分類し、以下2つの仮説のもと、本調査を実施しました。
- 広告を直視していない場合、広告効果はない
- 広告を見る量・時間が長いほど、効果は大きい
本調査では、日本国内8000人超のモバイル端末ユーザーを対象に、ディスプレイ、リッチメディア、SNSなど、計7種類の広告フォーマットからユーザーの視線の動きを計測しました。視線追跡、視覚的注意、表情のデータが45種類以上のクリエーティブから収集されました。参加者のアンケートと計測データ結果を分析し、アテンション値と広告効果の関係について検証。また、本調査は日本のモバイル使用環境におけるアテンションの実態に対する理解を目的として、絵文字と複数の文字を併せて使用する非ラテン系言語の使用、縦書きテキストが好まれる傾向、日本市場向けにローカライズされたウェブサイト、日本人の表情や身体的反応に対応したアルゴリズムの使用など、日本市場特有の事情も鑑み考察されています。
アテンション指標
アテンションの評価においては以下の3つの指標から計算。
1. Viewed Percentage(視聴率)
2. Average Viewed Time(平均視聴時間)
3. Attention per mile (APM、1000インプレッションあたりのアテンション)
計算式: 視聴率 × 平均視聴時間 × 1000 = APM
視聴率、視聴時間、インプレッションを組み合わせた複合指標である「APM」により、広告効果をさらに高い精度で測定できるようになりました。
調査結果
- 広告視聴時間が長いほどブランド想起率は高くなる
アテンションの獲得とブランド想起には明確な正の相関関係がみられ、視聴時間が長くなるほど、ブランド想起率が高くなるとデータが示しています。広告の視聴が1秒未満の対象者の想起率が21%であった一方、10秒以上視聴した対象者の想起率は41%に上昇しました。また、効率的な視聴時間として1~3秒と3~6秒が導き出され、視聴時間の改善により、ブランド想起率はそれぞれ14ポイント、29ポイント向上しました。
- 強制的なアテンションより自発的なアテンションがブランド想起率を高める
ユーザーが広告の視聴をコントロールできる「自発的なアテンション」を獲得した広告は、「強制的なアテンション」(スキップできない動画など)を利用したフォーマットと比較して、より高いブランド想起とブランド選択のスコアを達成しました。自発的に広告を5~10秒間視聴した対象者は強制的に見せた場合と比べて、想起率が18ポイント上昇。さらに10秒以上の視聴では79ポイント高くなりました。
- プラットフォームとオーディエンスに合わせた広告クリエーティブの最適化、多様なメディアチャンネルを活用したマルチプラットフォーム戦略が重要
リッチメディア(ディスプレイおよび動画)フォーマットはグローバル平均と同程度の反応率、加えて高いブランド想起率を達成し、日本のユーザーエンゲージメント獲得において安定した効果が期待できると言えるでしょう。強制視聴型のフォーマットでは、全ての広告フォーマットで反応率の上昇が見られましたが、強制的なアテンションは、ユーザーのネガティブな感情を引き起こし、ブランド想起に悪影響を与えるおそれも考えられるため、強制視聴と非強制視聴のバランスが非常に重要となります。
- アテンションに影響をおよぼす5要因
「ビューアブル時間」「強制視聴」「広告の長さ」「動き」「サイズ」は各メディア環境におけるアテンション獲得に影響します。クリエーティブ自体と、メディア環境との適合性もまた、アテンション獲得とその後の成果を大きく左右します。これらの要素を意識的に活用することで、オーディエンスのアテンションを高める効果が期待できます。
本調査では、特に日本の要件に基づいて開発されたモデルにより「視聴した確率」の精査が可能になりました。広告の効果や有効性を測定する新たな指標として、アテンションを考慮した広告配信やクリエーティブ開発を行うことで、より効果的なマーケティングキャンペーン展開が可能になると考察しています。
電通ジャパン・インターナショナルブランズは主要な広告主や媒体社とともに、デジタルマーケティングの世界に変化を起こすだけではなく、新たなソリューションも見出すべく積極的に投資しています。新しい価値体系を定義し、「購入」よりも「達成」されるものに価値を置き、ひいては業界における従来の取引方法に挑戦することを目標としています。そして、その価値はメディア指標によって評価されるだけに留まらず、マーケティング、さらにはビジネス的価値として評価されていくでしょう。電通ジャパン・インターナショナルブランズは今後も、ブランド・エクイティの向上と投資の成功へつながる包括的なマーケティング戦略ソリューションの提供を目指してまいります。
より詳細な「広告効果における新指標:アテンションエコノミー」本編は当リンクよりダウンロードが可能です。
関連リンク
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