BtoBマーケティングの最適解をどう探りあてるのか
2023.03.31
2023.05.22
Micoworks株式会社
マーケットの変動やテクノロジーの急速な進化に伴い、現在、社会が大きく変容しています。常に移り変わる消費者の行動をどのように解像度高く捉え、近づいていくのか。絶対的な答えがない中で、数多くのBtoB企業は手探りでマーケティング施策を行っています。今回の連載では、試行錯誤しながらBtoBマーケティングの取り組みを最適化し、成功に導くための取り組みを、Micoworks株式会社がご紹介。「実践から紐解く、BtoBマーケティングの最適解」と題した連載シリーズでお届けします。
目次
Micoworks株式会社とは
Micoworks株式会社は、SNSマーケティング支援を行う企業です。現在はLINEを活用したコミュニケーションプラットフォーム「MicoCloud(ミコクラウド)」を開発、提供しています。最適なSNSコミュニケーションによって、ブランド価値を最大化し、あらゆるビジネスの可能性を広げるツールです。
BtoBマーケティングの定石『THE MODEL』とは
「THE MODEL(ザ・モデル)」とは、集客から商談・クローズ、カスタマーサクセスに至る各段階において、すべての情報を可視化・数値化し、部門を越えた連携をとることで売上の増大を図っていく考え方、および営業活動における分業体制のことを言います。Saleforceが営業活動やマーケティングで実践しているプロセスとして知られていますが、2019年に翔泳社から同タイトルの書籍が出版されたことで、一般企業へも広がっていきました。THE MODELの最たる特徴は次の2点です。
1. 営業プロセスを切り分け、各段階での情報を数値化・可視化する 2. 各段階を担当する部門間が連携することで、顧客満足度の向上を図る |
1. 営業プロセスを切り分け、各段階での情報を数値化・可視化する
「THE MODEL」では、マーケティング・インサイドセールス・営業(フィールドセールス)・カスタマーサクセスという4つのプロセスに切り分け、それぞれの業務目的と役割、ゴールを設定しています。
たとえば、営業活動の第一の段階となるマーケティング部門は、潜在顧客の獲得を目標とし、分母となる「来訪者数」に「獲得率」をかけあわせた「見込み顧客数(リード数)」がKPIです。そこから、各々に設定したゴールを次の部門が引き継ぐかたちでプロセスの母数が形成され、それぞれのKPIに注力する体制を構築します。各プロセスと各部門の数値を可視化することで、課題が抽出しやすくなり、迅速かつ効率的に改善に向けた施策を打つことができるのです。
2. 各段階を担当する部門間が連携することで顧客満足度を上げる
これら4つの部門が連携を取り合うことで、顧客情報をシームレスに共有し、一貫した営業アプローチを取ることができるため、顧客満足度の向上にもつながります。自チームの目的を明確にし、専門性を高め、生産性を向上できる効果を期待できます。それが「THE MODEL」です。
Micoworksでは、「THE MODEL」のプロセスを活かしながら、自社独自の戦略を掛け合わせて最適解を模索しています。
Micoworksのマーケティングチームのミッションと全体方針
マーケティングのミッションは「有効リード数」
私たちは見込み顧客(リード)の中でもさらに「有効リード数」をKPIに設定しています。有効リードの定義としては私たちが価値提供できる「一定規模以上のBtoC企業」としており、それ以外のたとえば「BtoB企業」「個人事業主」の方などは有効リードには含まれません。マーケティングチームはあくまで、インサイドセールスチームへ自社サービスを利用・導入してくれる可能性のあるリードをつなげることをミッションとしているからです。
有効リード獲得のためのターゲット戦略
私たちは有効リードをKPIにしていますが、企業規模も業界もニーズもそれぞれ異なりますし、限られたリソースを有効活用するには、明確なターゲット戦略を立てることが必要不可欠です。そして、狙いを定めたターゲット層からさらに、受注率、LTVの観点で4業界にまで絞り込むことに。ターゲット企業像が確立したことで、訴求すべきメッセージが明確になったり、チャネルの選定が最適化したりするなど、より適切かつ有効なマーケティングが行えるようになりました。
私たちのマーケティングチームでは、先述したターゲット戦略にもとづき、各マーケティング・チャネルを次の6つで施策を展開しています。
使用するチャネルはいずれもオーソドックスなものばかりですが、チャネル内におけるコンテンツはすべて先述したターゲット戦略の内容を踏襲した内容に揃えています。たとえば、ウェビナーであればターゲット業界の事例コンテンツを伝える、雑誌においてはターゲット業界の専門誌への記事広告を出稿するなどです。各チャネルの良し悪し、そして、チャネル内で展開するコンテンツの良し悪しを数値化してあらゆる角度から分析し、意思決定を実行する。このようにして随時、PDCAを回しながら着実に成果をあげています。
Micoworksは、バリューのひとつに「SMART SPEED」を掲げています。これは「最速で仮説を立てて、最速で検証しよう」という意味です。社内外に関わらず、必要に応じてスピーディに行動することは、次のステップへ進むための課題を素早く摘み取り、改善し、チームの成長を促すために、非常に重要なことだと私たちは考えています。高速でPDCAを回すことは、マーケティングチームと企業の成長を促すスピードも加速することができるのです。
実際に、Micoworksでは「SMART SPEED」をいくつも実践しています。
3ヶ月で「トリプルメディア活用」をテーマに掲げたカンファレンスを開催
昨年11月29日、私たちが提供しているマーケティングSaaSの「MicoCloud」の成長スピードを加速させる目的で、初となる自社発のオンラインカンファレンスを開催しました。「MicoCloud」の急成長に合わせてマーケティングチーム内で下半期の議論をするなか、「トリプルメディア全体を巻き込むカンファレンスを自社で開催してはどうか」というアイデアが出て、実際の行動に移した形です。準備期間はたったの3ヵ月。短期間で効果を最大限に引き出すために、重点を置いたのは次の2点です。
●認知度の高い企業の登壇
UUUM株式会社さまやTikTok for Businessさまなど、マーケティング業界でも認知度が高く、すでにイベントやセミナーで登壇している企業を中心に参加してもらいました。
●カンファレンス当日の視聴率を向上させるために、参加者へリマインドを徹底
タスク自動化ツールを活用して参加者のGoogleカレンダーに予定登録ができるようにセット、カレンダーにはZoomのURLなど、視聴方法を記載。
改善すべき点はいくつもありましたが、「トリプルメディアの活用」というコンテンツを届けることができた結果、多くの参加者、そして80%という高視聴率を実現できました。数値以外にも、カンファレンスを開催したことで多数の企業と新たなつながりを持てたり、MicoCloudの認知度を広げたり、デジタルマーケティングについて、依然として課題を抱えている企業も多く、本テーマへの興味や関心が高いことを把握することができました。いずれも、実施しなければ得ることができなかった成果です。
「2ヶ月でCRMの移行」
社内のリード管理を行うMarketing Automationツールを、2ヶ月でリプレイスしました。よりよいマーケティング活動、より顧客に即したマーケティング活動をすべく、リプレイスもスピーディーに実行すべきだと考えたためです。リプレイスによって、「ナーチャリングセグメント設計の細分化・最適化」「データ分析・クレンジング工数の削減」を実現し、結果として、最小の工数で商談創出数の最大化を期待できる状況になりました。
過去の成功体験に縛られず、常に変化し続ける
連載の第一回でも触れましたが、現在は顧客や顧客の接触チャネルの変化が激しい時代の最中にいます。生活者の思考や価値観が多様化し、購買プロセスは複雑化しているため、見込みリードの情報収集チャネルや興味・関心の流動性に対応するには、企業も迅速な変化が欠かせません。だからこそ、企業は常にターゲット戦略やマーケティング手法を模索し、素早い仮説検証 (「SMART SPEED」) を行っていく動きが求められるでしょう。
BtoBマーケティングで成果を収め続けるためには、いままで成功パターンとしていた施策を継続するのではなく、自社の目標や目的を明確にしつつ、顧客の変化に合わせた施策をその都度、見出し、実行し、検証していくことが重要です。そしてそれを実行するために、柔軟に、スピーディにマーケティングチーム全体を変化させ続けていきましょう。
執筆者プロフィール
Micoworks株式会社 ビジネスマーケティング部 マーケティングチーム Manager
岩崎 淳平
ユナイテッド株式会社にて、自社インターネット広告媒体の法人営業/広告運用/アライアンスなど複数の業務に従事。その後、WEB専業広告代理店である株式会社オーリーズにて企業規模や業界業種問わず複数のクライアント様の広告運用をPMとして支援し、現在に至る。