〈中小企業のDXに関する実態調査 第2弾〉中小企業の経営者があまり効果を感じられていないDX施策 1位「DX推進のための人材確保・採用」【フォーバルGDXリサーチ研究所調べ】
2023.03.14
2023.03.14
目次
- 一方取り組めていない企業の理由 第1位は「対応する人材がいない」リスキリングの内容・やり方が鍵に
- 調査結果サマリー
- ①中小企業で取り組まれているDX施策 第1位は「現行業務(バックオフィス業務など)のデータ・クラウド化」 しかし、約半数は実施検討フェーズにも至っていない状況 最も取り組まれていない「DXに関する新規事業の開発」は半数が取り組むつもりがないと回答
- ②中小企業経営者の4人に1人が、 「社員へのDX関連の資格取得や知識習得の推進・支援」「DX推進のための人材確保・採用」 にあまり効果を感じていないと判明!リスキリングの内容、やり方も重要
- ③ 「現行業務(バックオフィス業務など)のデータ・クラウド」に取り組めていない理由 第1位は「対応する人材がいない」人手不足、能力不足の解決が必須と判明
- 【有識者のコメント】中小企業のDX推進について
- 関連リンク
一方取り組めていない企業の理由 第1位は「対応する人材がいない」リスキリングの内容・やり方が鍵に
Green(グリーン)とDigital(デジタル)を活用した中小企業の変革を目指すフォーバルGDXリサーチ研究所は、中小企業の経営者1,619人に「中小企業のDXに関する実態調査 第2弾」を実施しました。
日本は諸外国と比較しDX化において遅れを取っており、中小企業経営者の3人に1人がDXについて「よく知らない」、6割は「意識改革」段階で実務の課題解決に至っていないという現状があります。(参照:フォーバルGDXリサーチ研究所「中小企業のDXに関する実態調査 第1弾」)このような状況を打破すべく、中小企業において、様々あるDX化の中で実際何ができていて、何ができていないかの実態を知るべく、調査を実施いたしました。
調査結果サマリー
①中小企業で取り組まれているDX施策 第1位は「現行業務(バックオフィス業務など)のデータ・クラウド化」
しかし、約半数は実施検討フェーズにも至っていない状況
最も取り組まれていない「DXに関する新規事業の開発」は半数が取り組むつもりがないと回答
②中小企業経営者の4人に1人が、 「社員へのDX関連の資格取得や知識習得の推進・支援」
「DX推進のための人材確保・採用」 にあまり効果を感じていないと判明!
リスキリングの内容、やり方も重要
③ 「現行業務(バックオフィス業務など)のデータ・クラウド」に取り組めていない理由
第1位は「対応する人材がいない」 人手不足、能力不足の解決が必須と判明
今回の調査の結果、「すでに取り組んでいるDX施策」として、「現行業務(バックオフィス業務など)」のデータ・クラウド化」が1位となり、最も取り組めていないものとして「DXに関する新規事業の開発」が最下位となりました。しかし、取り組めている企業が最も多い「現行業務(バックオフィス業務など)のデータ・クラウド化」においても、「必要だと思うが取り組めていない」「取り組むつもりはない」と検討フェーズにも至っていない企業が約半数となり、業務の効率に影響していると推察されます。
また、すでに取り組んでいる企業に対し、効果・浸透度を伺ったところ、 「社員へのDX関連の資格取得や知識習得の推進・支援」と「DX推進のための人材確保・採用」 がいずれも、「あまり効果がない/浸透していない」「全く効果が出ていない/浸透していない」合わせて4人に1人があまり効果を感じていない結果となりました。一方取り組めていないという方に理由を伺ったところ、「対応する人材がいない」が最も多く、人手不足、能力不足が明らかとなるとともに、「リスキリング」の必要性だけでなく、内容、やり方も重要と推察される結果となりました。
【アンケート概要】
・調査主体 :フォーバルGDXリサーチ研究所
・調査期間 :2023年1月10日(火)~2月10日(金)
・調査対象者 :全国の中小企業経営者
・調査方法 :ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
・有効回答数 :1,619人
①中小企業で取り組まれているDX施策 第1位は「現行業務(バックオフィス業務など)のデータ・クラウド化」 しかし、約半数は実施検討フェーズにも至っていない状況 最も取り組まれていない「DXに関する新規事業の開発」は半数が取り組むつもりがないと回答
Q1. あなたの事業所において取り組めているDX施策を教えてください。
中小企業経営者に、自社で取り組めているDX施策について調査したところ、「現行業務(バックオフィス業務など)のデータ・クラウド化」が「既に取り組んでいる」人が33.8%と1位、次いで「利用しているITシステム・デジタル技術の最適化(整備・刷新)」が29.4%となりました。
しかし、最も取り組んでいる企業が多い「現行業務(バックオフィス業務など)のデータ・クラウド化」においても、「必要だと思うが取り組めていない」「取り組むつもりがない」が48.4%と約半数おり、具体的な検討フェーズにも至っていないと判明。
また、最も取り組んでいる企業が少ない「DXに関する新規事業の開発」においては46.4%と約半数が「取り組むつもりはない」と断言する結果となりました。
②中小企業経営者の4人に1人が、 「社員へのDX関連の資格取得や知識習得の推進・支援」「DX推進のための人材確保・採用」 にあまり効果を感じていないと判明!リスキリングの内容、やり方も重要
Q2.Q1で「既に取り組んでいる」と回答した施策の効果・浸透度を教えてください。
Q1で「既に取り組んでいる」と回答した方に各DX施策の効果・浸透度を伺ったところ、すべての施策において「とても効果が出ている/浸透している」「やや効果が出ている/浸透している」合わせて7割以上の人がプラスの変化を実感しているという結果となりました。
しかし、「社員へのDX関連の資格取得や知識習得の推進・支援」と「DX推進のための人材確保・採用」 といった人材面の2施策は、他施策と比較すると実感を得ている割合が低く、 、「社員へのDX関連の資格取得や知識習得の推進・支援」 は「あまり効果がない/浸透していない」「全く効果が出ていない/浸透していない」合わせて24.6%と、 「DX推進のための人材確保・採用」 は25.2%といずれも4人に1人が「あまり効果を感じていない」という結果となりました。
効果を感じられていないものの上位に、共通して人材面が上がったことから、施策をやるだけでなく、内容・やり方も重要であり、そこが上手くいっていない、分かっていないという方が多いのではないかと推察されます。効果を得て、労働環境改善や新規サービスの開発などに繋げるためには、まず人材の育成の仕方から学ぶ必要があるようです。
「既に取り組んでいる」という方でも、進め方に課題があり、効果を得るまでには至れていない方も多いと分かりました。では、「必要だと思うが取り組めていない」という方はどのような課題があるのでしょうか。
③ 「現行業務(バックオフィス業務など)のデータ・クラウド」に取り組めていない理由 第1位は「対応する人材がいない」人手不足、能力不足の解決が必須と判明
Q3.Q1で「必要だと思うが取り組めていない」と回答した施策の理由として最も当てはまるものを教えてください。
DX施策に取り組んでいる人の中で、あまり効果を感じられていない人が多い施策は、「社員へのDX関連の資格取得や知識習得の推進・支援」と「DX推進のための人材確保・採用」 といった人材周りと分かりました。では、「必要だと思うが取り組めていない」人の取り組めていない理由にはどういったものがあるのでしょうか。
Q1で「必要だと思うが取り組めていない」と回答した人に最も当てはまる理由を聞いたところ、全施策において「対応する人材がいない」が1位となりました。今いる人材にDXの知識がないが教育が上手くいかない、あるいは採用をしたいが良い人材が捕まらないといった状況があると推察されます。
このように、DX施策について、すでに取り組んでいるがあまり効果を感じられていない、必要と思っているが取り組めていないいずれのケースにおいても「人材」が課題となっていることが分かりました。国内多くの企業でDX人材が不足しており一朝一夕には良い人材の採用は難しいと思われる中、今いる人材の教育=リスキリングが重要です。
ただ、やり方を間違えると効果が出にくいといった事象に繋がりますので、DXを効率良く進めるためには「リスキリング」のやり方から学ぶ必要があります。
【有識者のコメント】中小企業のDX推進について
フォーバルGDXリサーチ研究所所長
平良 学(たいら・まなぶ)
■経歴
1992年、株式会社フォーバルに入社。
その後営業部長を経験。2001年からは九州支店に所属し、赤字経営の立て直し、コンサル事業の立ち上げに成功。以降アライアンス事業の事業責任者を全うする。
現在は、全国のコンサル事業の全体統括や「ブルーレポート」の統括、国・行政との連携を行う事業の責任者を務める。
数々のメディア掲載実績を持ち、中小企業経営者を対象とした経営塾の講師、DXを始めとするウェビナーにも数多く登壇している。
■本調査リリースについてコメント
中小企業経営者が実践的にDXを進めていくためには、現在の既存ビジネスモデルからデジタル社会に対応したビジネスモデルを再定義する必要があります。DXによって企業をどのように変えるのか、その戦略を明確にする必要がありますが、それが曖昧なまま「とりあえずDX人材を獲得しよう」となるから、必要なDX人材像が定まりません。自社の戦略にとって必要な人材のスペックが明確でないため、従業員のリスキリングでも「一般教養」を教えるだけとなり自社の変革に必要なスキルを身に着けさせることが出来ていません。自社のビジョンが明確であるからこそ、求める人材の専門性が決まります。ビジョンに向けて改革の方向性が明確であるからこそ、従業員のリスキリングの内容が定まります。
中小企業経営者は、デジタル社会の中で、ステークフォルダーに対して自社の存在意義を問い直し『パーパス』の再構築が求められています。
関連リンク
●株式会社フォーバル
●〈中小企業のDXに関する実態調査 第2弾〉中小企業の経営者があまり効果を感じられていないDX施策 1位「DX推進のための人材確保・採用」