スマートフォンでの情報収集 SNSに対する熱量は低下、ライブ配信と動画サブスクの利用時間が大きく伸長
2022.09.16
2022.11.14
データマーケティング支援のGlossom株式会社(グリー株式会社100%子会社、以下「Glossom」)はスマートフォンユーザーの情報収集動向を時系列に分析する「スマートフォンでの情報収集に関する定点調査」を全国の10代から70代の男女1,540名に実施いたしました。本調査は、SNSやサーチエンジン、メディア、動画サービスの利用率や利用時間を性年代情報と掛け合わせることで、現状の動向やスマートフォンユーザーの意識の変化をとらえることを目的とし、2019年より実施しています。
目次
総括
2019年の調査開始以降、スマートフォンでの情報収集に使われる時間は年々増えていましたが、2021年から2022年にかけては「136.3分」から「136.4分」と横ばいとなりました。その中でも、利用時間の伸びを牽引していたSNSは、Instagramの利用時間が減少したことも影響し、短くなっています。これは、新型コロナウィルスの影響が落ち着き、行動が変化してきた影響だと考えられます。同様の傾向は、動画サブスクの利用にも見られ、一部のサービスを除き利用率が低下しています。巣籠もり 需要で発生していたSNSやメディア・動画サブスク利用が、2022年には一部で縮小しているように見られます。
主な調査トピックス
1. スマートフォンによる情報収集動向
●情報収集におけるスマートフォン利用の1日の平均利用時間が2020年から2021年にかけては、「126.6分」から「136.3分」と7.6%増加していましたが、2021年から2022年は増加が見られませんでした。
●コロナ禍で加速したSNS利用時間の伸びは落ち着き、頭打ちになったと考えられます 。
2. SNSに対する熱量が低下
● 情報収集におけるスマートフォン利用の1日の平均利用時間が頭打ちとなりました。
● 主要SNSサービスの利用率の推移をみると、TikTok以外で利用率が低下。一定のSNS離れが起きています 。
● SNS利用時間の伸びを牽引していたInstagramも2021年と比較し利用率・利用時間ともに減少。勢いが収まっています 。
● 発信者の割合もTikTokを除き低下し、SNSに対する熱量の低下が見られました 。
3. SNSで企業が発信する情報に対しての反応率が低下
●自分でフォローしている企業の情報と比較し、企業広告への反応は低く、2021年と比較すると特に男性で差が開いています。
●2021年と比較し、男性30代・40代を除く性年代で、企業が発信する情報への反応率が低くなっています。
●反応率は、自分でフォロー・友達がシェア・企業広告ともに低下しており 、SNSの利用時間が頭打ちになる中 、SNSでの可処分時間の使い方に変化がおきていると考えられます。
4. 動画サブスクの動向
●コロナ禍の巣籠もり消費が落ち着き、サブスク利用に変化が起きています。
●利用率が高かったAmazon Prime Videoは、一部の年代を除き利用率が低下。
●ABEMAは10代の離反が見られます 。
●利用率を上げたYouTube有料は、男性に支持されています。
調査結果詳細
1. スマートフォンによる情報収集動向
情報収集におけるスマートフォンの1日の平均利用時間は2019年の調査開始以降年々増加していましたが、2021年から2022年にかけて「136.3分」から「136.4分」と横ばいになりました。コロナ禍での巣籠もり需要が落ち着いたことも一因と考えられますが、一人当たりのスマホの利用時間が今後大幅に増えることはなく頭打ちになると予想されます。
▼情報収集におけるスマートフォンの1日の平均利用時間の推移
SNS、サーチエンジン、メディアのいずれも、2021年と比較し2022年は利用率が低下しました。2020年から2021年の比較ではSNSとメディアが上昇していましたが、2022年の利用率は減少に転じています。また、コロナ禍前の2019年との比較では、SNS利用率・メディア利用率が93%、サーチも94%と大幅に低下しています。
SNSは、2021年までは利用率が横ばいで、定着ユーザーの利用時間が大幅に伸びていたものの、2022年は利用時間の伸びも落ちつき、SNS利用が頭打ちの傾向となっています。
▼サービス分類別の利用率と利用時間の推移
▼サービス分類別の利用率と利用時間の推移
SNS・サーチエンジン・メディア利用率は70%を超える高い水準を維持しているものの、年々緩やかに下降傾向となり、2021年に利用率が50%を超えた動画サブスクでも、2022年は2021年と比較すると55.0%から51.5%と低下しています。利用時間は、SNSが2021年対比で横ばい。ライブ配信と動画サブスクの利用時間は大きく伸びており、ライブ配信はSNSの75.8分に続いて70.6分と伸長しました。
2. SNSに対する熱量が低下
SNSの利用率・利用時間とも、若年が高く、年代が上がるにつれ下がっていく傾向にあります。利用率(10代~50代)を2021年と2022年で比較すると、30代男性の利用率が増えたものの、それ以外は横ばいか低下。ほとんどの性年代で利用率が下がっています。また、SNS利用率(10代~50代)をコロナ禍前の2019年と2022年で比較すると、女性の10代と50代で増加しているものの、他は全て低下しています。SNSに対する熱量が落ち着き、定着ユーザー以外のSNS離れが進んでいます。利用を継続している定着ユーザーの利用時間は年々増加する傾向にありましたが、2022年は女性30代と50代を除き、横ばいか低下しており、利用時間も飽和に達している可能性が考えられます。
▼SNS利用率と利用時間の推移
▼SNSサービス別の利用率と利用時間の推移
TikTok以外、利用率は右肩下がりとなり、Instagramも2021年と比較すると、利用率が低下、2021年に大幅に伸びていた利用時間も2022年は減少しています。利用率を年々伸ばしているTikTokは、2022年には13.2% を超えたものの、他サービスのシェアを大きく奪うほどの勢いはありません。
▼Instagramの利用率と利用時間の推移
Instagramの利用傾向として、2021年は特に若年層が利用率と利用時間を押し上げていましたが、2022年は利用率が低下、勢いが収まっています。
▼SNS別の発信者合
3. SNSで企業が発信する情報に対しての反応率が低下
前年のレポートと同様に、若年層ほど企業が発信する情報に対する反応度合いは高く、自分でフォロー、友達がシェア、企業広告の反応率を比較すると、自分でフォローしている企業の情報と企業広告への反応率に大幅な開きがあります。企業が発信する情報への反応率を2021年と比較すると、若年層だけではなく男性30代・40代を除く性年代で低くなっており、2021年には差が開いていなかった、男性の自分がフォロー、友達がシェア、企業広告の反応率の差も、2022年には差が大きくなっています。反応率は、自分でフォロー・友達がシェア・企業広告ともに低下しており、SNSの利用時間が頭打ちになるなか、SNSの可処分時間の使い方に変化がおきていると考えられます。
▼SNSで企業が発信する情報に対への反応率推移
4. 動画サブスクの動向
2022年の利用率上位10サービスで2021年と2022年の利用率を比較すると、YouTube有料とU-NEXT以外は利用率が低下しました。コロナ禍の巣籠もり消費で動画サブスク利用が伸びたものの、コロナが落ち着きリアル消費が戻りつつあることが要因と考えられます。
▼動画サブスク調査対象内の利用率上位10サービスの利用率と利用時間推移
▼利用率が高い3サービスの利用率の推移
利用率が高い3サービスで利用率を比較した結果、利用率が最も下がったABEMA(アベマ)は、女性10代と、30・40代を除く男性で利用率が大幅に低下しました。 Amazon Prime Videoも女性10代~30代、男性20代、30代、50代で利用率が下がりました。
▼NETFLIX、ニコニコ動画利用率の推移
利用率を維持したNETFLIXは、2021年に伸張した男性20代が2020年水準まで下がったものの、女性が30代・50代を除き伸びたことで利用率を維持。ニコニコ動画は、女性40~50代と男性40代で大幅な利用率の低下が見られます。
▼ GYAO!、YouTube(有料)利用率の推移
GYAO!は全ての性年代で利用率が低下しています。利用率が上昇していたYouTube有料は、男性30代・40代が伸びており、女性と比較すると男性の10代~40代に利用されています。
▼音声配信/ライブ配信 調査対象内の利用率上位11サービスの利用率と利用時間推移
▼利用率上位4サービスの性年代別利用率の傾向
2022年の利用率上位11サービスで2021年と2022年の利用率を比較すると、YouTube(ライブ配信)、LINE LIVE 、SHOWROOMは利用率が低下し、Instagram(ライブ配信)、Twitter(ライブ配信)、TikTok(ライブ配信)は上昇。それ以外はほぼ横ばいと明暗が分かれていますが、伸びているInstagram(ライブ配信)、Twitter(ライブ配信)も微増にとどまり、大きな伸張は見られませんでした。
調査概要
調査対象:日本全国に在住のスマートフォンを所有する10代~70代の男女
回答者数:2022年調査:1,540名、2021年調査:1,442名、2020年調査:1,442名、2019年調査:2,060名
調査方法:インターネットによるアンケート調査
調査時期:2022年調査:2022年5月25日(水)~5月27日(金)
2021年調査:2021年5月26日(水)~5月28日(金)
2020年調査:2020年6月11日(木)~6月13日(土)
2019年調査:2019年5月31日(金)~6月3日(月)
標本構成:男性:770名、女性:770名(10代から70代まで各110人)
※1 SNS、サーチエンジン、メディアの分類について
SNS:Facebook、Facebook Messenger、Instagram、LINE、TikTok、Twitter、その他のSNSアプリ
サーチエンジン: Safari、Chrome、その他のブラウザー
メディア:グノシー、SmartNews、LINE NEWS、Yahoo!ニュース、Googleニュース、ニュースパス、dmenuニュース、その他のニュース系情報アプリ、美容、ファッション、健康(LIPS、@cosme、TRILL、WEARなど)食・料理(cookpad、クラシルなど)、住まい・暮らし(LIMIA、キナリノなど)、旅行、おでかけ、レジャー(aumo、TABI LABOなど)音楽、映画、ドラマ、エンターテインメント(マイナタリー、映画.comなど)各種趣味(スポーツ、乗り物、カメラなど)、その他のジャンル・分野の情報・話題のまとめメディア
※2 動画サービス(アプリ)の分類について
日テレTADA、ネットもテレ東、テレビ東京ビジネスオンデマンド、ニコニコ動画、ABEMA(アベマ)※旧AbemaTV、Amazon Prime Video、AppleTV、DAZN、dTV、FODフジテレビONE/TWO/NEXTsmart、Hulu、GYAO!、NETFLIX、NHKオンデマンド/NHKプラス、Paravi、TBS FREE、TELASA、TVer、U-NEXT、YouTube無料YouTube有料、その他の動画閲覧サービス
※3 音声配信/ライブ配信サービスの分類について
YouTube(ライブ配信)、Instagram(ライブ配信)、Twitter(ライブ配信)、Facebook(ライブ配信)、TikTok(ライブ配信)、ニコニコ生放送、LINE LIVE、17LIVE、SHOWROOM、Pococha、ツイキャス、ふわっち、MixChannel、HAKUNA、Apple Podcasts、Google Podcasts、Clubhouse、Voicy、himalaya、stand.fm、Mirrativ、REALITY、その他の音声配信/ライブ配信サービス
※4 総合ニュース系メディア分類について
グノシー、SmartNews、LINE NEWS、Yahoo!ニュース、Googleニュース、ニュースパス、dmenuニュース、その他のニュース系情報アプリ
データ活用に向けた「Glossomデータインサイトラボ」について
当社は企業のデジタルマーケティング領域において、複数の特許技術※4を活用し、マーケティングデータベースの構築からデータ蓄積・分析・施策立案、実行までを一気通貫して支援しています。昨今スマートフォンの普及により生活のデジタル化が進んだことで、商品購入やサービス利用の前後や経緯、きっかけなど人々の行動をデータ化し蓄積することで、企業はデータから顧客ニーズを読み取り、顧客ファーストかつ効率的なデータマーケティングを行うことが可能となりました。「Glossomデータインサイトラボ」では、チーフデータアナリストの陳野を中心に、様々なデータ分析を行い調査結果を発表することで、企業のデータに基づいたマーケティングを推進しています。
チーフデータアナリスト プロフィール
陳野 友美(じんの ともみ)
楽天グループの顧客データベースである「楽天スーパーデータベース」の生みの親。2003年、楽天株式会社に顧客マーケティング部署の立ち上げメンバーとして入社後、 楽天市場事業のデータ分析部部長に就任。楽天PointClub等のCRMプログラムやグループ統合DB(楽天スーパーDB)の構築など、データを活用した顧客マーケティングの基盤づくりとマーケティング活動を推進。当社にてQUANT DMPによる記事読了解析技術の開発と複数の特許を取得。
※4ウェブコンテンツの読了率などからコンテンツをスコアリング(特許:第6347532号、名称:評価装置、評価方法及び評価プログラム)、コンテンツの読まれ方を解析し、自社ユーザーのファン度を顕在化(特許:第6042018号、名称:情報生成装置、方法およびプログラム)、ライターの能力を可視化(特許:第5988345号、名称:評価装置、評価方法、評価プログラム、レコメンド装置、レコメンド方法及び、レコメンドプログラム)
グリー株式会社 DX事業について
グリーのDX事業は、Glossomをはじめとする複数のグループ子会社により展開されています。データドリブンマーケティングを強みに、「DXで世の中を元気にする」というビジョンのもと、クライアント企業のDX支援に取り組んでいます。
関連リンク
●Glossom株式会社
●【スマートフォンでの情報収集に関する定点調査2022】 スマートフォンの利用時間は横ばい、利用率減少。巣籠もり需要が落ち着き、SNSでの可処分時間の使い方に変化