【OMO成功事例】フューチャーショップ、ECと実店舗のポイントを統合、さらに店舗受取も本格化。オンセブンデイズが目指すネットとリアルの相乗効果
2022.07.05
2022.07.05
株式会社フューチャーショップ
SaaS型ECサイト構築プラットフォームfutureshopは、ECサイトリニューアル・立ち上げに選ばれています。年間1827億円流通、年商1億円突破店舗、続々誕生。CMS機能「commerce creator」では、さらにデザインの自由度が向上。定期的にバージョンアップを実施し、常に最新のシステムが利用できます。
こちらの記事は株式会社フューチャーショップ E-Commerce Magazine(イーコマースマガジン)との連携で掲載しています。
「2022年2月にECと実店舗の顧客データを統合し、ポイントも共通化しました。そして4月からは、店頭受取サービスの注文処理をシステムによって自動化しています」
こう話すのは、愛知県を中心に雑貨小売店「ON SEVEN DAYS(オンセブンデイズ)」を15店舗展開している株式会社オンセブンデイズのEC担当者さま。
同社は2022年にオムニチャネルの取り組みを開始し、ECと実店舗の会員統合、ポイントの共通化、店舗受取サービスの本格展開など、ネットとリアルが連携したOMO施策を矢継ぎ早に打ち出しました。
「オンセブンデイズ」がめざす小売りの姿とは、どのようなものなのでしょうか。オンラインストア店長の牧野かおりさまと、豊川本店の副店長を務めている松井仁美さまに、オムニチャネルの現状や課題、ECと実店舗が連携するメリットなどについてお話をうかがいました。
インタビュアー:株式会社フューチャーショップ 取締役 安原貴之
<インタビューにご協力いただいた方>
株式会社オンセブンデイズ
- オンラインストア店長 牧野かおり さま(トップ画像 右)
- 豊川本店 副店長 松井仁美 さま(トップ画像 左)
目次
「オンセブンデイズ」とは?
出典:ECと実店舗のポイントを統合、さらに店舗受取も本格化。オンセブンデイズが目指すネットとリアルの相乗効果【OMO成功事例】
生活雑貨やファッション、コスメ、食品、キッチン用品、生活家電など、暮らしに関わるさまざまな商品を取り扱っている小売店。1989年7月に「オンセブンデイズ」の前身である「ショップアイレクス」の1号店をオープンして事業を開始しました。2014年1月に店名を「オンセブンデイズ」に変更し、現在は愛知県と静岡県、岐阜県、三重県に合計15店舗を展開しています。実店舗の会員数は約20万人です。
EC事業を開始したのは2006年9月。当初は楽天市場店のみを運営していましたが、2013年3月にfutureshopで自社ECサイト「on seven days」を開設しました。ブランディングやデジタル戦略の見直しにより、2015年12月に楽天市場店を閉店し、以降は自社ECサイトのみを運営しています。
2022年2月、ECプラットフォームをfutureshop omni-channelに変更し、実店舗とECサイトの顧客データを統合した上でポイントを共通化。2022年4月には、ECで買って実店舗で受け取る店舗受取機能(オプション機能)を導入し、それまで手作業で行っていた店舗受取の注文処理を自動化するなどECと実店舗の連携強化を進めています。
出典:ECと実店舗のポイントを統合、さらに店舗受取も本格化。オンセブンデイズが目指すネットとリアルの相乗効果【OMO成功事例】
出典:ECと実店舗のポイントを統合、さらに店舗受取も本格化。オンセブンデイズが目指すネットとリアルの相乗効果【OMO成功事例】
2022年にオムニチャネルを本格始動
──オンセブンデイズさまは、2022年にオムニチャネルの取り組みを加速させていますね。
牧野さま:2022年2月に実店舗と自社ECサイトの会員データを統合し、ポイントも共通化しました。4月からは店舗受取サービスも拡充しています。
小売企業を取り巻く環境や、これからの日本における消費動向などを見据え、ECと実店舗の連携を強化すること、すなわちオムニチャネルが必須だと判断しました。
自社ECサイトはデジタル戦略の軸であり、会社全体の売上高を伸ばすためのツールとして活用していく計画です。
──オムニチャネルは、いつ頃から準備していたのでしょうか。
牧野さま:2019年にオムニチャネルに取り組む経営方針を決定しました。ただ、当時、実店舗で使用していたPOSが外部システムと連携できない仕様だったこともあり、ECと実店舗の顧客データの統合には時間がかかりました。約3年かけてPOSのリプレイスやオムニチャネルプラットフォームの導入などを断行し、2022年2月に会員データとポイントの統合を実現することができました。
──全店舗のPOSを入れ替えた上で、ECプラットフォームも乗り換えるのは、かなり大掛かりなプロジェクトだったのではないでしょうか。
牧野さま:おっしゃる通り、大きなプロジェクトでした。
会員管理システムやアプリも一緒に刷新したため、システム単体の入れ替えにとどまらず、オンセブンデイズのデジタルマーケティングの方向性を議論した上で、システムのあり方をゼロから見直すプロジェクトになりました。
出典:ECと実店舗のポイントを統合、さらに店舗受取も本格化。オンセブンデイズが目指すネットとリアルの相乗効果【OMO成功事例】
会員データを引き継げるからfutureshop omni-channelを選択
──オムニチャネル化のプラットフォームとして「futureshop omni-channel」を選んでくださった理由をお聞かせいただけますか?
牧野さま:決め手になったのは、実店舗とECサイトの会員データや購買データを引き継いだ上で、データ統合を行えるシステムだからです。
会員管理システムに蓄積されている約20万人の会員データは、オンセブンデイズにとって何にも代え難い資産です。会員データをきちんと引き継ぎ、ECとの統合をスムーズに実施できる方法を幅広く検討した結果、futureshop omni-channelがベストだという結論に至りました。
また、futureshop omni-channelは連携先の「CROSS POINT」(ポイント共通化機能)や「MGRe」(アプリプラットフォーム)を含めて、すべてクラウドで使用できることも魅力でした。futureshop omni-channelを導入する以前は、会員管理システムとアプリをフルスクラッチで開発していました。フルスクラッチ開発はシステムのメンテナンスやセキュリティ対策、OSのバージョンアップ対応などに手間がかかり、機能追加を行うごとに多額の開発費用が発生するなどデメリットも少なくありません。そういったデメリットを解消できることも、futureshop omni-channelを選んだ理由の1つです。
店舗スタッフがアプリを案内し、実店舗とECのポイント連携をサポート
──futureshop omni-channel導入から約4カ月が経過した現在、実店舗とECの会員統合はどの程度進んでいますか?
牧野さま:実店舗とECを統合した新しいアプリの登録数は5月末時点で約8万4000人です。
実店舗の会員数はプラスチックカードや旧アプリを含めて合計約20万人いますので、アプリのダウンロードキャンペーンなどを実施し、新しいアプリへの登録を促しています。
なお、以前から使用している実店舗の会員カードはそのまま使用できますので、ある程度の時間をかけながら、順次移行していただけるよう施策を打っていく方針です。
──新しいアプリのダウンロードや新規登録を促す上で、店舗スタッフさんからお客さまへの働きかけも重要になりそうです。
松井さま:リニューアル前の会員アプリは現在は使用できないため、旧アプリを使用しているお客さまには店頭でアップデートしていただくようご案内しています。
また、EC会員として登録済みのお客さまは、実店舗のポイントとECのポイントを連携する手続きを取っていただく必要があります。そういったことも店頭でご案内します。その際、EC会員の登録時に使用したメールアドレスを忘れてしまった方もいらっしゃいますので、そういった方々には、会員データを管理している本部に問い合わせていただくなど臨機応変に対応しています。
出典:ECと実店舗のポイントを統合、さらに店舗受取も本格化。オンセブンデイズが目指すネットとリアルの相乗効果【OMO成功事例】
店舗受取機能を導入し受注処理の負担軽減
──2022年4月からfutureshopの店舗受取機能もご利用いただいています。じつは、すべてのショップさまの中でオンセブンデイズさまが導入第1号でした。
牧野さま:店舗受取は待望の機能でした。
オンセブンデイズでは店舗受取サービスを2015年から実施していますが、以前はfutureshopのシステムが店舗受取に対応していなかったため、注文フォームの配送方法の選択肢に「店舗受取」を独自に追加し、備考欄に受け取り店舗を記載していただくなど、可能な範囲で対応していたんです。ただ、お客様にとって使いやすいUIとは言えませんでした。
また、受注処理において手作業の業務が多数発生することも課題でした。例えば、受注データの備考欄をEC担当者が目視で確認しなければなりませんでしたし、お客さまに送る注文確認メールを1件ずつ作成し、個別に送信していました。
店舗受取を利用するお客さまは1日に平均で数件から十数件ほどでしたが、それでも注文処理におけるEC担当者の負担は重かったです。また、見落としや転記ミスなどによる対応漏れも心配でした。
そういった悩みを抱えていましたので、futureshopに店舗受取機能が実装されることをお聞きした際は、すぐに導入したいとフューチャーショップさんにお伝えしました。
──店舗受取機能を導入したことで、受注処理の負担は軽減されましたか?
牧野さま:それはもう、EC担当者の業務負担は大幅に軽減されました。体感的には、以前であれば半日ほどかかっていた仕事が約1時間で終わる印象です。
店舗受取の注文処理の大部分が自動化されたため、受取店舗や受取日などを目視で確認する必要がなくなりました。店舗へ送る注文書に手作業で転記する必要もありません。注文確認メールのテンプレート作成や一斉送信の設定も行えるので、お客さまとのやり取りもスムーズです。
──店舗受取サービスを本格的に行うようになり、効果を実感していることはありますか?
牧野さま:店舗受取を利用するお客さまにとって、注文フローが分かりやすくなったことが一番の効果だと思います。店舗受取サービスの利用者数は日によってばらつきがありますが、店舗受取機能の導入以前と比べて利用者は着実に増えています。実店舗に在庫がなかったときの売り逃し対策としても、店舗受取サービスの認知を広めたいです。
店舗受取をきっかけとした来店促進効果にも手応え
──店舗スタッフさんは店舗受取の指示書を受け取った後、どのようなフローで対応しているのでしょうか。
松井さま:まずは商品の在庫を確認し、店舗に在庫がなければ他店から取り寄せます。店舗間配送のトラックが週2回の頻度で来ますので、その物流網を活用して在庫の横持ちを行います。
お客さまが商品を受け取りにいらしたら、商品に間違いがないかお客さまと一緒に確認し、ラッピングを行って商品を受け渡します。
実店舗では以前から客注(※店頭に在庫がない商品の注文を受け、他店から取り寄せて販売すること)に対応していますので、その運用フローをECの店舗受取にも応用しています。
──店舗受取サービスを利用するお客さまの属性に特徴はありますか?
松井さま:それほど大きな特徴はありませんが、年齢層は30~40歳代のお客さまが多い印象です。10歳代〜20歳代前半の若いお客さまや、ご高齢のお客さまの利用はそれほど多くはないようです。体感的には、インターネットショッピングに慣れている方々が何らかの理由で店舗受取を選択しているように感じています。また、店舗受取ではファッションやアパレルを購入する方が比較的多いです。
出典:ECと実店舗のポイントを統合、さらに店舗受取も本格化。オンセブンデイズが目指すネットとリアルの相乗効果【OMO成功事例】
牧野さま:店舗受取は送料が無料なので、送料を気にする方が利用すると思っていたのですが、実際に運用を始めてみると、そうとは限らないことも分かってきました。
オンセブンデイズの自社ECサイトは購入金額が6500円以上で送料が無料になるのですが、購入金額が送料無料ラインを越えているお客さまが店舗受取サービスを利用するケースも珍しくありません。
自宅で宅配便を待つよりも、実店舗で受け取った方が便利だと感じるお客さまもいらっしゃるのでしょう。また、コロナ禍では実店舗の滞在時間をできるだけ減らしたいと考える方もいると思います。
そして、これは私の願望も含めての想像になりますが、ECで購入しても、オンセブンデイズの実店舗に行きたいと思ってくださるお客さまがいらっしゃるのかもしれません。もしそうであれば、これほど嬉しいことはないですよね。
出典:ECと実店舗のポイントを統合、さらに店舗受取も本格化。オンセブンデイズが目指すネットとリアルの相乗効果【OMO成功事例】
店舗スタッフの評価方法や決済タイミングなど、最適なあり方を検討
──futureshopの店舗受取機能における決済方法は、オンライン決済と店舗決済を選択できます。オンセブンデイズさまはオンライン決済を選択していますね。
牧野さま:決済のタイミングは議論が分かれるところだと思いますが、弊社はひとまず、ECサイトでの注文時に決済が完了する方法を選択しています。決済が完了していれば、お客さまが商品を受け取りに来ないことによるトラブルを減らせると考えているためです。実際、無断で商品を取りに来なかったお客さまはこれまで1人もいません。
──店舗受取サービスで課題に感じていることはありますか?
牧野さま:決済がオンラインで完了しているため、商品を受け渡す実店舗の売り上げにならないことが今後の課題になると感じています。店舗スタッフが接客しても評価につながらないと、モチベーションが低下してしまうのではないかと心配しているんです。
店舗受取サービスに限らず、オムニチャネルを実現するには店舗スタッフの協力が欠かせません。EC売上高に対する店舗スタッフの貢献度を可視化し、適切に評価する仕組みも必要だと感じています。
また、オンラインで決済が済んでいるため、実店舗を訪れたお客さまは、心理的に商品をついで買いしにくいかもしれません。こうした課題も踏まえ、どのような形がベストなのか検討していきます。
実店舗とECが同じ目標に向かい、便利で楽しいショッピング体験を提供
──最後に、オンセブンデイズさまのデジタル戦略や、マーケティングにおける自社ECサイトの役割について、今後の展望をお聞かせください。
牧野さま:オンラインストアの役割は、商品を売るだけではありません。オンセブンデイズ全体の売上高を伸ばすために、実店舗の来店促進イベントを告知するなど、さまざまな役割を担っています。オンセブンデイズのことをもっと知っていただき、ファンになっていただけるような施策を実施していきます。
一方で、ECの売上高を拡大することも当然重視しています。将来的には実店舗の小型店並みの売上にすることが目標です。この数字を伸ばしていくことも、今後のオンセブンデイズにとって重要な目標になるでしょう。
いずれにせよ、もっとも大事なことは、オンセブンデイズを好きになってくださるお客さまを増やすことです。オンラインとオフラインが連携し、お客さまに寄り添い、笑顔になれる商品を一つでも多くご紹介したいと思っています。その目標を実店舗とECのスタッフが共有し、協力し合いながら、便利で楽しいショッピング体験をお客さまに提供していきたいです。
出典:ECと実店舗のポイントを統合、さらに店舗受取も本格化。オンセブンデイズが目指すネットとリアルの相乗効果【OMO成功事例】
インタビューを終えて
オムニチャネルを実現するには、実店舗やECサイトなどで蓄積したさまざまなデータを連携する必要があります。そのためには、実店舗のPOSデータ、ECサイトの受注データ、CRMシステムの会員情報、基幹システムの在庫データ、WMSの物流情報など、分断されたデータを連携するためのシステム投資が欠かせません。
オンセブンデイズさまは、2年以上をかけてPOSやECプラットフォーム、アプリ、顧客管理システムなどを刷新し、オムニチャネルの第一歩となる「顧客データの統合」と「ポイントの共通化」を実現しました。さまざまな課題を乗り越えながらオムニチャネルを推進しているオンセブンデイズさまの取り組みは、デジタル時代に直面する小売企業にとって示唆に富むものではないでしょうか。
インタビューの中で牧野さまは、これからの課題として「実店舗とECの在庫データの連携」や「店舗スタッフの人事評価制度の最適化」などにも言及していました。そういったお話は、同社のオムニチャネルが今後さらに進化し、より便利なサービスを実現していく未来を予感させるものでした。
株式会社オンセブンデイズさまも導入しているfutureshop omni-channelの詳細はこちらのページをご覧ください。また、ECサイトの新規立ち上げやECプラットフォームの乗り換えを検討している企業さまは、お気軽にお問い合わせください。
関連リンク
●株式会社フューチャーショップ
●E-Commerce Magazine(イーコマースマガジン)
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