デジタルマーケティングを始めるにあたり「ネットで広告を出したい」「Web広告で広告の費用対効果を高めたい」と思っているものの、仕組みや用語がよくわからずに手付かずのまま…となってしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、インターネット広告が配信されるまでの仕組みと用語をわかりやすく解説します。
目次
Web広告配信の仕組み
アドテクノロジー(アドテク)
インターネット広告を配信するにはいくつかの仕組みがあり、それらの仕組みによって広告配信を効率的に行うことが出来るようになっています。
これらネット広告を効率化したあらゆるシステム全体をアドテクノロジー(アドテク)と言います。アドテクノロジーは広告=アド+テクノロジーを合わせた造語です。
アドテクノロジー登場の背景
アドテクノロジーの登場以前のWeb広告の配信には、Web広告掲載にあかかる業務が煩雑であるが故に運用が非効率であったというデメリットがありました。このようなデメリットを解消したのがアドテクノロジーです。
アドテクノロジー登場以前のネット広告で主流だったのが「純広告」です。
純広告はバナー広告・テキスト広告といった特定の広告枠を一定期間で購入して広告を配信する広告形態です。
純広告の掲載の際、広告主は「掲載メディアを探し選定する作業」「配信期間の決定」「広告を掲載したい期間の掲載枠購入の締め切りまでにメディアへ掲載依頼」「広告掲載日までに広告を準備」といった多くの工数を要します。
また、広告枠購入の締め切りはおおむね前月であることが多く、広告を出したい時にすぐ配信することが出来ません。その結果「広告を出すのにベストなタイミングを逃してしまう」「広告費に対して十分な効果を得られない」といったことが起き、Web広告を最大限に活かすことが難しかったのです。
しかしアドテクノロジーの登場により、広告主とメディア双方が手軽に広告と広告枠のやり取りを行うことが出来るようになりました。
アドテクノロジ―の種類
アドネットワーク / 多数の広告枠への一括配信が可能に
アドネットワーク(ADNW)は、Webサイトやアプリ・SNSなど、広告配信可能なメディアを多数束ねて配信する仕組みです。
アドネットワーク登場の背景:広告主・メディア双方の手間を無くす
アドネットワークが登場する以前の広告掲載は、広告主とメディア側の双方にとって手間が多く、以下のようなデメリットが有りました。広告掲載に関わるあらゆる業務が非効率であったことが大きな課題だったのです。
<広告主側のデメリット>
- 膨大なメディアの中から広告を掲載するメディアを探す費用がある
- 広告掲載依頼じゃメディア毎に個別で依頼
- メディアによって計測方法やデータフォーマットがバラバラであり広告効果の分析が難しい
<メディア側のデメリット>
- 各WEBページごとに広告を貼り付ける作業が生じる
- 営業活動や広告の結果報告を各広告主毎に個別で行う必要がある
メディア側にも、各WEBページに広告を張り付けなければならず、営業活動や広告の結果報告を各企業に個別で行う必要があるという手間がかかります。
アドネットワークの登場でこれらの問題が解決し、より効率的に広告配信や運用を行え、費用対効果も高くなっていきました。
アドネットワークは、「人」に配信するDSP(後述)と違い「枠」に広告を配信します。そのため、認知度の拡大やブランディングといった「特定のターゲット層ではなくより多くの人に配信したい」場合にアドネットワークは非常に適しています。
アドエクスチェンジ / 広告掲載枠の交換が可能に・課金形態も統一化
Ad Exchange(アドエクスチェンジ)は「各メディアやアドネットワークが持つ広告掲載枠を束ねて交換できる仕組み」のことです。
アドネットワークと混同しやすいアドエクスチェンジですが、このような違いがあります。
- アドネットワーク:「複数のメディア」を束ねる
- アドエクスチェンジ:複数メディアに加えて「複数のアドネットワーク」も一緒に束ねて一元管理が出来る
アドネットワークがネットワーク全体やメディア単位への配信入札であるのに対し、アドエクスチェンジはインプレッション単位で入札が出来ます。これにより、不要な広告入札を減らし、より費用対効果の高い広告配信が出来るようになりました。
課金形態も統一化
アドエクスチェンジの登場で、課金形態にも変化が起きます。
それまでのアドネットワークの課金形態が「CPC(クリック単価)課金」「インプレッション課金」など事業者ごとに異なっていました。しかしアドエクスチェンジの導入を契機に「入札型インプレッション課金」へ統一されていくことになります。
DSP / 広告主の配信プラットフォーム
DSP(Demand-Side Platform)は、複数のアドネットワークを横断して広告を配信できる広告主側のプラットフォームであり、広告の費用対効果を高めたい広告主のためのツールです。
DSP登場の背景
広告配信の手法が多様になっていくにつれ、多くのディスプレイ広告を束ねるアドネットワークも増えていきました。すると、さらにアドネットワークを管理するツールが必要になります。このアドネットワークを管理するツールとして登場したのがDSPです。
「枠」から「人」への配信が可能になった
アドネットワークとDSPの大きな違いは、「枠」へ配信する広告から「人」へ配信することが可能になった点です。
アドネットワークは複数メディアに一括で広告配信が出来るという便利さはありましたが、あくまで広告「枠」への配信であるため、必ずしも配信したいターゲット層に届くわけではないというデメリットがありました。
一方DSPは、サイトを訪問者のユーザー属性を取得し、広告主側のターゲット属性にマッチするユーザー=「人」にフォーカスして広告配信をします。広告配信の精度が高まることにより、広告配信の費用対効果の高を高めることが出来る仕組みとなっています。
SSP / 媒体側のプラットフォーム
DSPが広告主のためのツールであるのに対し、SSP(Supply-Side Platform)は媒体の広告枠販売や広告収益最大化を目的としたツールです。
SSPは複数のDSP、アドエクスチェンジ、アドネットワークから、最も高い掲載費を支払うことができる広告を自動で選ぶことが可能です。SSPによって媒体側が効果的・効率的に広告枠を売ることができるようになりました。
<DSPとSSPの関係>
RTB / リアルタイム入札
RTB(Real-Time Bidding)は1インプレッション毎にリアルタイムで入札を行う仕組みです。
RTBはリアルタイム入札とも言われ、DSPとSSPはこの仕組みを利用しています。
広告主側は「なるべく安価で効率よく広告配信をする」ためにDSPを利用し、媒体側は「なるべく高く広告掲載してもらい、かつ広告枠を余らせないようにしたい」と考えてSSPを利用します。RTBはこの二者間を繋ぎリアルタイムで入札を行える仕組みです。
DMP / Data Management Platform
DMP(Data Management Platform)は、Webから得られた顧客データをまとめ、分析することによって顧客を管理する仕組みそのもの、またはそのためのプラットフォームです。自社サイトを通じて自社が保有している顧客データと自社以外のデータ販売企業などが保有している顧客データの両方を蓄積・管理・活用し、効果的な広告配信を実現します。
DPMは大きく「プライベートDMP」と「パブリックDMP」に分けられます。
プライベートDMPは、自社サイトへのアクセス履歴や行動・購買履歴やアンケートデータ、顧客情報など自社で独自で保有している顧客に関するデータを蓄積・管理ができるプラットフォーム(仕組み)です。
パブリックDMPは、自社以外のデータ販売企業などが提供している顧客のデータ(オーディエンスデータ)を蓄積・分析して活用するためのプラットフォーム(仕組み)です。顧客の自社サイト外での行動を把握できるため、自社だけでは把握しきれない消費者行動や属性を取得し、効果的な広告配信につなげることができます。
まとめ
Web上のあらゆる広告が私たちに届くまでは一瞬ですが、その一瞬で色々な仕組みが働いていることが理解できたのではないでしょうか。
広告主側もメディア側も、インターネット広告の様々な仕組みやプラットフォームを理解できればより効率的にビジネスを進めることが可能です。
SYNCADではこの他にもデジタルマーケティングに関する業界情報や用語解説などをお届けしていますので、ぜひご活用いただければと思います。