顧客データの統合・分析に取り組む企業は1.8倍増。施策に繋げるCDPが注目される中、企業のデータ活用状況は二極化へ
2022.02.17
2022.02.17
上場企業300社が回答「マーケティングデータ活用実態調査 2022年版」を公開
デジタルマーケティングのコンサルティングを行うアンダーワークス株式会社は、大手企業の顧客データ管理の取り組み実態や、顧客データ活用の動向に関する調査をまとめた「マーケティングデータ活用実態調査 2022年版」を、本日公開しました。
目次
■ 調査の背景
現在、企業と顧客のデジタル接点の多様化と共に、マーケティングにおける顧客データの利活用やテクノロジー活用が進み、データマネジメント(データ統合・分析・施策への活用)の重要性が高まっています。国内の上場企業について、マーケティングデータマネジメントの取り組み状況を可視化し今後の方針決定における参考にしていただきたく、本調査を実施しました。
※マーケティングデータ:オンライン・オフラインを問わず顧客接点から得られる、または外部から購入する、さまざまなマーケティング・販売・営業に関するデータの総称
■ 調査結果のサマリー
散在する多くのマーケティングデータを基盤に統合し分析を行う企業は昨年から1.8倍に増え、顧客データ活用に向けた専用CDPを採用する企業が増え始めています。データ統合ができている成熟度の高い企業は「データ活用」に関する課題を持つ一方で、成熟度の低い企業は「データの現状把握」や「予算確保」に課題を持つ傾向があり、企業の取り組みステージごとに直面する課題が変化しています。
- 昨年同様、9割の企業がマーケティング成果向上にデータマネジメントを重視
- 企業によるデータマネジメントへの取り組みは二極化が始まる
- データ統合・分析に進んだ企業は昨年比で1.8倍増
- データ活用への取り組み課題トップは「人材や専門知識の不足」となり、デジタル人材へのニーズが顕在化
- データ分析では「Tableau」、データ統合では「Treasure Data CDP」など、BIやCDPといった専用ツールの導入が1年で大きく進行
■ 調査結果のポイント
※詳細は本編資料をご参照ください:https://www.underworks.co.jp/download/wp-mdm-report-2022/
データマネジメントへの取り組み状況
「マーケティングデータの活用・管理に取り組んでいますか。」の設問に対し、約半数の企業が「取り組んでいる」と回答し、その数は昨年より増加しています。一方で、データマネジメントへの取り組みは「未定・予定なし」と回答する企業数も増えており、取り組み状況の二極化が進んでいる可能性があると言えます。
データマネジメントへの取り組み状況(業種別)
通信サービス、運輸/エネルギー、金融/証券/保険といった業種においてデータマネジメントへの取り組みが進む一方で、商社、流通/小売、その他のサービス業においては取り組みが遅れている様子が伺えます。
マーケティングデータ統合・活用の成熟度
「マーケティングデータの管理・利活用のステージはどれに最も近いですか?」という設問では、統合基盤に多くのデータを統合済みであると言える企業が24.2%と、昨年比1.5倍に増加しています。また、統合に留まらず「分析利用」のステージにある企業は12.6%と、昨年比で1.8倍に増加しました。一方で、データの部分的なデータの連携のみを実行しており、多くのデータは統合されていないステージの企業は50.8%と半数を占めており、多様なデータを基盤に集約するまでの壁は依然として高いことが伺えます。
データ活用への期待・目的
「データ活用の取り組みで期待したい成果は?」の設問を見ると、「営業活動とマーケティングデータの連携(セールスイネーブルメントやABMなど)」に主眼を置く企業が43.7%と最も多くなりました。また、「PDCAサイクル実現」(39.8%)に次いで「Webサイトのコンテンツ強化(コンテンツマーケティング)」(37.5%)への注目も高く、Webサイト等のデジタル顧客接点で得たデータを営業活動に活用するなどといった利用目的が垣間見える結果となりました。
データ統合基盤システムへの投資
「データ統合の基盤となるテクノロジーの利用料として年間どの程度の予算を割り当てるべきだと考えますか。」の設問においては、「年間5,000万円以上」という大きな予算を想定する企業が若干増加(2.6%→2.9%)した一方で、「分からない」と回答する企業も増加(25.4%→28.8%)するなど、対極的な項目がそれぞれ微増していることがわかります。ここからもデータ利活用への二極化の一面が伺えると言えます。
データ統合基盤システムへの投資(大手企業・成熟度の高い企業)
年商2,000億円以上の企業と、成熟度ステージ3(多くのデータを統合済みの企業)以上の企業に絞り、それぞれのデータ統合基盤システムへの想定予算を見ると、企業規模が大きくなるほど高くなる傾向がありますが、データ活用の成熟度が高いからといって想定予算も高くなるわけではないことがわかります。データ活用への大きな予算確保が、必ずしもデータ統合の前提になるわけではないと言えるでしょう。
利用しているデータ管理の基盤システム
現在利用しているマーケティングデータ基盤システムに関する設問を見ると、回答数としては汎用型のクラウドインフラ・データベースが上位に上がるものの、昨年比では減少傾向が見られます。一方で、「Treasure Data CDP」は昨年比1.4倍、「Adobe Experience Platform」は昨年比4倍、「Snowflake」は昨年比2.5倍と、顧客データ専用CDP(カスタマーデータプラットフォーム)への移行が進んでいる様子が伺えます。年商2,000億円以上の企業に絞って見ると「Treasure Data CDP」は昨年比2.4倍と、大きくシェアを伸ばしていることもわかります。データ分析の次のステージである施策への活用に向け、CDPが注目されているのではないでしょうか。
データ活用・管理の取り組み課題
データ活用・管理に取り組む際の課題に関する設問において、昨年比で最も増えた回答は「様々なテクノロジーに対する専門知識や人材不足」(43.7%)であり、昨年トップであった「組織間の連携や部門間調整」を上回り、”デジタル人材”へのニーズが非常に高まっていることがわかります。
データ活用・管理の取り組み課題(成熟度ステージ別比較)
データ活用の成熟度ステージ別に見ると、人材不足の課題以外には差が見られます。成熟度の高い企業は「取り組み結果の効果測定」や「データ活用」に課題を持っている一方で、成熟度が低い場合は「取り組みへの予算確保」、「統合するデータの欠如・少なさ」、「散在する様々なテクノロジー/データの現状把握」といった課題に直面している傾向があることがわかります。
■ 調査本編のダウンロード
下記URLより、調査の本編資料をダウンロードいただけます。
https://www.underworks.co.jp/download/wp-mdm-report-2022/
■ アンダーワークス代表取締役社長 田島コメント
昨年に引き続き2回目のマーケティングデータ活用実態調査でしたが、1年で取り組みへの実態が大きく異なる結果となり、マーケティングデータ活用への取り組みが企業において重要な位置づけになっていることを改めて実感しました。
特に、多様なマーケティングデータをCDP等への専用基盤に統合し、分析まで行っている企業が昨年比で1.8倍にまで広がったことは大きなポイントになったと思います。一方で、取り組みが進んでいる企業もそうでない企業でも、マーケティングテクノロジーに関する専門知識や人材が不足している、いわゆる”デジタル人材の不足”が顕著な課題として浮き彫りになりました。こうした専門知識や人材不足の課題に対して、弊社はコンサルティングや実行支援という形で企業をサポートしていくことがますます求められていると強く感じています。
■ 「マーケティングデータ活用実態調査 2022年版」概要
- 調査対象者:東京証券取引所に上場している全企業約3,900社(内回答社数 309社)
- 調査方法:郵送調査/インターネット調査(日経BPコンサルティングに委託)
- 調査対象者の業種:全業種
- 調査対象者の所属:マーケティング、広報、経営企画、総務、情報システム、営業企画、商品企画、広告宣伝部など
- 調査対象者の役職:本部長、事業部長、部長、課長、主任クラス
- 調査時期:2021年11月22日~2021年12月16日
関連リンク
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