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SNS広告や動画プロモーションが主流となった現在でも、街頭やポスティングで手にした一枚のチラシが、購買や来店といった行動を促すケースは少なくありません。
今回の調査では、全国の男女300名を対象に、「手に取られるチラシ」と「見ずに捨てられるチラシ」を分けるデザイン要素についてアンケートを実施しました。
消費者が「つい見てしまう」「取っておこう」と感じるチラシの共通点や、逆に“すぐに捨てられてしまう”デザインの特徴を、調査データとともに紐解きます。
【調査概要】
【 選択肢 】
▼性別
・男性
・女性
▼年齢
・20代
・30代
・40代
・50代
・60代以降

| あなたの性別を教えてください。 | 人数 | 割合 |
| 男性 | 122 | 40.67% |
| 女性 | 178 | 59.33% |
| 300 | 100.00% |

| あなたの年齢層を教えてください。 | 人数 | 割合 |
| 10代 | 0 | 0.00% |
| 20代 | 42 | 14.00% |
| 30代 | 109 | 36.33% |
| 40代 | 99 | 33.00% |
| 50代 | 37 | 12.33% |
| 60代以降 | 13 | 4.33% |
| 300 | 100.00% |
本調査では全国の男女300名を対象に、手に取られるチラシについてアンケート調査を実施しました。
【 選択肢 】
・はい
・いいえ

| これまでに、チラシがきっかけで商品を購入したり、お店やサービスを利用したりした経験はありますか? | 人数 | 割合 |
| はい | 168 | 56.00% |
| いいえ | 132 | 44.00% |
| 300 | 100.00% |
チラシをきっかけに実際の行動(購入・来店・利用)につながった経験について調査したところ、56.0%が「経験がある」と回答しました。
この結果から、チラシは今もなお、“行動喚起メディア”として一定の効果を発揮していることが分かります。
スマートフォンやSNSでは瞬時に情報が流れ去ってしまうのに対し、チラシは手元に残り、繰り返し目に触れるという特徴があります。
この“物理的な接触”が、購買や来店といった具体的なアクションへつながる重要な要素といえます。
そのため、受け手の記憶に残るデザイン・コピー・情報設計を行うことで、紙媒体ならではの時間差反応を引き出せる可能性が高まるのです。
【 選択肢 】
・キャッチコピーが印象的だった
・色使いやデザインがきれいだった
・情報が整理されていて読みやすかった
・お得な特典やクーポンがあった
・自分の興味と関係していた
・紙の質感・形が特徴的だった
・その他

| そのチラシのデザイン・内容について、特にどのような点に魅力を感じましたか? | 人数 | 割合 |
| キャッチコピーが印象的だった | 13 | 4.25% |
| 色使いやデザインがきれいだった | 35 | 11.44% |
| 情報が整理されていて読みやすかった | 35 | 11.44% |
| お得な特典やクーポンがあった | 130 | 42.48% |
| 自分の興味と関係していた | 85 | 27.78% |
| 紙の質感・形が特徴的だった | 5 | 1.63% |
| その他 | 3 | 0.98% |
チラシを保管や内容が注視した要因を調査したところ、「お得な特典やクーポンがあった」(42.48%)と「自分の興味と関係していた」(27.78%)が突出しており、両者を合わせると全体の7割以上を占めました。
この結果から、消費者がチラシを手に取る・読む・行動するかどうかは、主に次の2つの実利的な視点に基づいていることが分かります。
| 項目 | 詳細 |
| 直接的な金銭的メリット | 値引きや特典・限定クーポンなど、明確なお得感がある |
| 自分に関係があるか | ライフスタイルや興味と“自分ごと化”できる内容である |
チラシの成否は「デザインの美しさ」だけでなく、“誰に・どんな価値を届けるか”という設計力にも左右されます。
マーケティングの視点からデザインを捉え、見る人の関心やニーズに寄り添いながら、具体的なメリットを提示できるかどうかが、行動を促す鍵といえるでしょう。
チラシを保管したり、内容を注視した理由として、「色使いやデザインがきれいだった」と「情報が整理されていて読みやすかった」が、いずれも11.44%で同率という結果となりました。
「お得感」や「関心との一致」に次いで、合わせて2割以上を占める無視できない要素であることが分かります。
これらのデザイン・レイアウト要素は、チラシの“魅力を支える土台”として機能しています。
どれほど内容が優れていても、読みにくい配置や雑然とした印象では、せっかくの特典や情報が伝わる前に捨てられてしまう可能性があります。
つまり、チラシづくりにおいては「目を引く」だけでなく、“最後まで読ませる”構成設計が欠かせません。
デザインは単なる装飾ではなく、情報を魅力的かつ効果的に伝えるための設計技術であることが、今回の調査結果からも示唆されます。
【 選択肢 】
・文字が多すぎて読む気にならない
・デザインが安っぽい・古くさい
・何の広告かすぐ分からない
・自分に関係がない内容だった
・写真やビジュアルが弱い
・ありきたりな内容だった
・その他

| 「すぐ捨ててしまう」チラシにはどんな特徴がありますか? | 人数 | 割合 |
| 文字が多すぎて読む気にならない | 46 | 15.33% |
| デザインが安っぽい・古くさい | 22 | 7.33% |
| 何の広告かすぐ分からない | 26 | 8.67% |
| 自分に関係がない内容だった | 181 | 60.33% |
| 写真やビジュアルが弱い | 3 | 1.00% |
| ありきたりな内容だった | 19 | 6.33% |
| その他 | 3 | 1.00% |
| 300 | 100.00% |
すぐに捨ててしまうチラシの特徴として、「自分に関係がない内容だった」が60.33%を占め、チラシが“届いているのに届いていない”状態に陥っていることが分かりました。
この結果は、チラシ制作における「ターゲティング設計の精度」が反応率を左右する最重要ポイントであることを示唆しています。
「誰に・何を・どのように伝えるか」という基本設計が曖昧なままでは、どれほどデザインや特典に工夫を凝らしても、行動にはつながりません。
特にポスティングの場合は、配布対象を細かく絞りにくいため、「地域・世代・生活シーンに合わせた訴求軸の再設計」や、「共感を生むコピーライティング」の重要性が一層際立ちます。
すぐに捨てられてしまうチラシの特徴として、「文字が多すぎて読む気にならない」(15.33%)、「何の広告かすぐ分からない」(8.67%)が挙げられました。
この2項目を合わせると約4人に1人(24%)が「情報整理の悪さ」を問題視していることが分かります。
情報を詰め込みすぎたり、視線誘導が整理されていなかったりすると、内容がターゲットに合致していても、読む前に離脱されてしまう可能性が高まります。
手に取ってもらえるチラシに重要なのは、情報量ではなく「伝達設計」であり、受け手が瞬時に“何の広告か”を理解できることが大切です。
視線の流れ、情報の階層、余白のバランスといったビジュアルコミュニケーションの設計こそが、反応を生むチラシとそうでないチラシを分ける鍵と言えます。
今回の調査から明らかになったのは、「手に取られるチラシ」と「捨てられるチラシ」を分ける要因が、単なるデザイン性の高さではなく、消費者の行動心理をどれだけ理解し、設計に反映できているかという点です。
人はチラシを目にした瞬間に、「自分の生活に関係があるか」「今の自分に必要な情報か」を直感的に判断します。
仮にデザインが洗練されていても、その瞬間に関心の軸を捉えられなければ、内容が読まれることなく手放されてしまいます。
一方で、美味しそうな写真・見やすいレイアウト・整理された情報構成といった要素は、受け手の理解を助け、購買や来店といった行動を自然に後押しする「導線」として機能します。
本調査は、販促物におけるデザインの役割が単なる“見た目の美しさ”ではなく、「人の心を動かし、行動につなげる仕組みをつくること」にあることを示しています。
また、本調査の結果をより詳細に解説している記事もご用意しております。
発注先とのコミュニケーションにかかった時間や、「内製化したい」と感じられたデザイン業務の具体例について解説しています。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
※https://deza-poke.com/blog/flyerdesign_survey
■本アンケートの引用について
本記事を引用する際には必ず以下の形式での記載をお願いいたします。
「引用:株式会社デザポケ(https://deza-poke.com/)」