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ダイレクトリサーチサービス「ユニーリサーチ」を提供する株式会社プロダクトフォースは、セルフ型アンケートツール「Surveroid」を提供する株式会社マーケティングアプリケーションズと共同で両社のサービスを利用するユーザー合計310人にセルフリサーチサービスの利用実態に関する調査を実施しました。
今後1年のリサーチに関する取り組みについての質問では、40.0%のユーザーが増加、セルフリサーチサービスの活用については、42.6%のユーザーが増加すると回答しています。調査手法別では、定量調査が33.3%、定性調査が36.0%が増加するとの回答となりました。
昨年度との比較では、すべての項目で「どちらともいえない」が増加し、「増加する」の割合が低下しました。
国内の「セルフリサーチ市場」は125%(※1)と高い成長率を遂げていることからも、「クイック&ライト」な新しい調査手法として徐々に日本でも浸透しつつあり、今後も成長を期待することができるのではないでしょうか。
※セルフリサーチサービスの定義
セルフリサーチサービスとは、事業主自らが顧客に関する1次情報を収集するために活用するクラウド型のリサーチサービスです。自社で機動的かつ迅速に情報収集を行い、事業の成果につなげていきたいとするニーズの高まりから近年は国内においても様々なサービスが生まれています。
※1【セルフリサーチサービスの成長率】:日本マーケティング・リサーチ協会 第49回経営業務実態調査、セルフサービスプラットフォームの売上高を参考
利用シーン別に結果を見ると「仮説検証を行うため」(56.8%)、「商品・サービスのコンセプト受容性を確認するため」(51.3%)、「商品・サービスのターゲット顧客を選定するため」(39.0%)、「新規事業開発を行うため」(35.8%)、が多く挙がり、新規事業や新商品開発における仮説検証や受容性の把握などを目的として利用されていることが分かります。
利用シーンについては昨年度と同じ傾向となっており、スピードが求められる新規事業や新商品開発などに多くの会社が取り組む中、セルフリサーチサービスは迅速にデータを収集しPDCAを素早く回すシーンで活用されています。
また、昨年度と比較して「クライアントから調査要望があったため」(昨年度:9.1%→今年度:20.6%)が大きく伸長しており、セルフリサーチサービスは「事業主自らが顧客に関する一次情報を収集するために活用する」ものと定義していましたが、ファクトを基にした意思決定が当たり前になる中でクライアントからデータを求められてセルフリサーチサービスを利用し、サービスやソリューションの価値を向上を図るクライアントワーク(コンサルティングや広告代理業など)のユーザーも増えていることが推測されます。
さらに、実際にリサーチを実施する頻度に関しても33.5%のユーザーが「月に1回以上リサーチを実施する」と回答しており、新規事業や新商品開発における仮説検証や受容性の把握においてセルフリサーチサービスを活用して速く・安く・頻度高くリサーチを実施することが徐々に当たり前として浸透してきていると言えます。
昨年度に続きセルフリサーチサービスを使う最大のメリットは「時間の短縮」と「コストの圧縮」の2点です。
今年度の結果で特徴的なのは「調査会社と比較してやり取りコストが発生しないこと」(昨年度:33.6%→今年度:40.6%)、「自身でスケジュール管理ができること」(昨年度:33.6%→今年度:40.3%)という2点のスコアが伸びている点です。
これまでよりも速さが求められる変化の激しい環境において、昨年度よりもリサーチを実施したい時に実施できるという点への評価が高まっています。
セルフリサーチサービスのメリットとして「安さ」が挙げられる一方で、昨年度に引き続き「安かろう悪かろう」のイメージで「得られるデータの信頼性」に疑問を持つユーザーも一定数いました。
一方で、セルフリサーチサービス提供企業でも回答内容の精度向上に関する取り組みは活発に行なわれており、本調査でも得られたデータやその速く結果を得られる点が成果につながったとの高い評価をする声もありました。引き続き提供企業の課題としては、「安かろう悪かろう」のイメージを払拭するために、セルフリサーチサービスの啓蒙や品質向上に努めていく必要性があると考えられます。
実際に下記のような成果が出たという回答がありました。
『データ取得に関わる時間を抑えてデザインなど本来時間をかけるべき業務に多くの時間を避けた』
『企画提案時に定量データを基に話をして信憑性を出せた、また効果測定も定量的に行うことができて満足度向上につながった』
『「悩む前にひとまずユーザーに聞いてみよう」と、プロジェクトが開始するまでの時間を短くできる』
『何よりも早くユーザーの声を直接聞けるため、リリースを待たずして仮説を検証することができ、無駄なくサービス開発を進められている』
また、調査目的が適切に定められているか、本当に聞きたい内容を反映した調査設計になっているか等のリサーチの設計をユーザー自身が担う必要がある点も、利用における課題となっています。
AIを通じてあらゆる知識に誰でもアクセスすることができるようになった現代において、改めて人を通じて人に聞くリサーチの意義は高まっており、リサーチに関わるハードルをどれだけ下げることができるかが求められています。
実際に下記のような回答内容がありました。
『訊く意味のないことを訊いてしまうことがある』
『設問が誘導的にならないものを作成するなど、設問の精度の検証ができない点』
『データの解析に工数がかかる』
今年度「社内メンバー・知人へのリサーチ」は53.5%と昨年度比較で-16.6ポイントと大きく割合を下げ、今年度から選択肢として追加した「生成AIサービスでの情報収集・ディープリサーチ」が45.2%と台頭する結果となりました。手元にあるアイデアや仮説を身近な人に聞くのではなくAIサービスを通して情報収集や検証を行う人が増加しているなど手段の多様化が背景にあると推測されます。
※調査結果の数値は小数点第二位を四捨五入しており、合計値が100%にならない場合もあります。