AIとファースト・パーティデータの重要性が高まる

コマースメディアを展開するCriteoはCoresight Researchと共同で制作した最新レポート「リテールメディアを形成する10のトレンド」を発表しました。

主なトレンド

• 世界のリテールメディア市場は2025年までに、前年比15.4%増の1,795億ドルに達する見込みで、2028年まで2桁の成長率を維持すると予想
• 広告市場におけるリテールメディアのシェアは、2024年の20.6%から2025年には23.2%に増加することが見込まれ、主要なマーケティングチャネルとしての存在感が増す
• 2025 年のリテールメディア市場が急成長する機会を後押しする主要要因は、ファースト・パーティデータ、AIの進歩、クローズド ループ アトリビューションの3つ

Criteo日本代表取締役グレース・フロム（Grace Fromm）は、本トレンドについて次のように述べています。「リテールメディアのさらなる成長は、AIと自動化の進歩によって推進され、ブランドと小売業者の両方に新たな機会をもたらします。AIを活用したアルゴリズムは、入札戦略のリアルタイムでの最適化、広告費効率の最大化、および高パフォーマンス製品に優先順位をつけ、インプレッションから測定可能な成果に焦点を移すことでリテールメディアに革命を起こす可能性を秘めています。ショッピングジャーニーが進化するにつれて、AIを活用した音声検索や、ダイナミックスポンサード製品を展開するバーチャルショッピングアシスタントなどのイノベーションも見られるようになるでしょう。ブランドが今後リテールメディアで成功するには、予測分析と機械学習の進歩が不可欠です。これらの進歩により、各ブランドは消費者の行動を予測し、データに基づいた意思決定をリアルタイムでできるようになるでしょう」

2025年 リテールメディアにおける10のトレンド

1. AIの役割の拡大

AI は、広告の自動化とパーソナライゼーションをサポートする上で、ますます高度な役割を果たすことが期待されています。AI ベースのデータ分析と顧客セグメンテーションにより、消費者に合わせた広告を配信する小売業者の能力が最大限に高まり、広告の効率を大幅に向上させることができます。

2. プログラマティック広告の購入が増加

プログラマティック広告は、リテールメディアネットワークの運用効率を向上させます。オフサイトリテールメディアの拡大や様々な広告フォーマットの台頭により、プログラマティック広告購入の重要性が高まります。

3. 広告フォーマットの多様化

消費者行動の変化に対応するため、小売業者はスポンサード広告やオンサイトディスプレイの他にも様々な広告フォーマットを導入しています。これにより、ブランドと消費者が新たに繋がる機会が生まれます。

4. 戦略的パートナーシップとオフサイトの成長

小売業者はファースト・パーティデータを活用して大手メディア企業と連携し、広告ユニットを拡大して新しい消費者セグメントにリーチしています。これにより、オンサイトとオフサイトの両方のリテールメディアにわたり、より広範な広告エコシステムの構築が可能になります。

5. 「テスト・学習」段階にあるインストア（実店舗内）リテールメディア

現在、インストアマーケティングとリテールメディアを明確に区別することに課題が残り、パフォーマンスを測定するために必要な指標も不足しています。小売業者はインストアリテールメディア戦略を再評価して改善し、継続的にテストおよび学習することが奨励されています。

6. フルファネル広告ツールとしてのリテールメディアの役割を強化

リテールメディアは、オンサイト広告に重点を置いていますが、フルファネル マーケティングのブランド目標を達成するためには、オフサイト広告を拡大することが期待されています。リテールメディアは、複数のチャネルとプラットフォームにわたる顧客獲得、維持、および売上増加のための強力なツールとなっています。

7. ファースト・パーティデータの強化

小売業者は、顧客データ プラットフォーム (CDP) やデータ レイクなどの AI 駆動型プラットフォームを通じてファースト・パーティデータを強化しています。これらのデータ ソースにより、より洗練されたターゲティングとパーソナライズされた広告キャンペーンが可能になり、広告パフォーマンスの最大化に貢献します。

8. 信頼と透明性の重要性

リテールメディアの成功には、信頼と透明性が不可欠です。広告パフォーマンスの指標は、広告主と小売業者の間の信頼関係の構築に役立つよう、明確かつ分かりやすく提供される必要があります。

9. パフォーマンス測定の標準化

リテールメディアの開発において、パフォーマンス測定の標準化は課題です。あらゆる関係者が広告キャンペーンの効果を明確に理解できるように、共通の指標と基準を確立することが重要です。

10. 新たなリテールメディアエコシステムの出現

技術提携に基づく新しいリテールメディア ネットワークは、リテールメディア市場全体に革新をもたらしています。これらのネットワークは、広告エコシステムにおける新しいトレンドをリードし、既存の市場の競争環境を再形成する可能性を秘めています。

2025年のリテールメディア市場を成長させる3つの主な要因

ファースト・パーティデータ：消費者の購買行動がますますデジタル環境に移行するにつれて、小売業者は独自のファースト・パーティデータを活用して、正確なターゲティングとパーソナライズされた広告キャンペーンを実現しています。特に、サードパーティ クッキーが段階的に廃止されるにつれて、ファースト・パーティデータに基づく広告モデルの重要性が高まり、リテール メディア ネットワークの重要性が高まっています。

AI技術の進歩：AI と機械学習の技術は、膨大な量のデータを分析することで広告戦略の最適化に役立つことが期待されています。これらの技術により、広告の自動化、オーディエンスのセグメンテーション、パーソナライズされたターゲティングが可能になり、広告キャンペーンの効果を最大化できます。
クローズドループ・アトリビューション(測定)：リテールメディアネットワーク内のクローズドループ アトリビューションにより、広告主はキャンペーンが売上に与える影響を定量化でき、単純なクリック数を超えて広告の ROI をより明確に評価できる増分などの高度な指標が得られます。

調査概要
調査実施期間：2023年8月16-29日
調査対象：米国に拠点を置く100社のCPG（Consumer Packed Goods：消費財）やFMCG（Fast-Moving Consumer Goods：動きの速い消費財）のブランド メーカー
＊本レポート内に記載のデータは2024年12月5日時点のもの

関連リンク

●Criteo