トランスコスモス株式会社は、自主調査「世界8都市オンラインショッピング利用調査2023」を実施しました。
2018年に開始したアジア10都市対象調査の設問を継承し、2022年からは対象都市から5都市を残したうえで、ソウル(韓国)、ニューヨーク(米国)、ロンドン(英国)を加えた世界8都市のショッピング利用者を対象としています。テーマとして「ライブコマース」(Live Streaming E-commerce)や「越境EC」(Cross Border E-Commerce)の利用実態のほか、今回は世界的なインフレが与えた購買行動の変化についてもとりあげました。
調査の概要
調査手法:グローバルパネルを利用したオンライン調査、現地語によるアンケート
調査地域:東京(日本)、上海(中国)、ソウル(韓国)、ムンバイ(インド)、バンコク(タイ)、ジャカルタ(インドネシア)、ニューヨーク(米国)、ロンドン(英国)
調査対象者:10歳から49歳の男女、直近半年以内のオンラインショッピング利用(購入)経験者
回収サンプル:320サンプル × 8都市、計2,560サンプル
調査実施期間:2023年2月2日~2月12日
調査委託機関:クロス・マーケティング
調査結果のポイント
1.インフレ率が高い国ほど商品価格の上昇を実感する消費者が多い
●オンラインショッピングにおいて1年前と比べた商品価格上昇について15の商品カテゴリーごとに「非常に思う」「ある程度思う」「あまり思わない」「まったく思わない」の4段階で尋ねた。ロンドン、ニューヨーク、ムンバイ、ソウルでは商品を問わず「非常に思う」との回答が多い。
●この傾向は各国のインフレ率統計とも一致している。インフレ率が高かったロンドン(9.1%)、ニューヨーク(8.1%)、ムンバイ(6.9%)では多くの商品で価格上昇が実感されていた。またソウル(5.5%)では特に食品・日用品での価格上昇を感じる人が多い。一方、インフレ率が比較的落ち着いている東京(2.0%)、上海(2.2%)、ジャカルタ(4.6%)では、多くの商品カテゴリーで「非常に思う」との回答は2割以下にとどまった。
●商品カテゴリーでは食品・飲料、日用品のほか、ファッションや家電などの値上がりが大きいと感じられている。携帯電話もソウルやムンバイをはじめ大幅な価格上昇を感じる人が多かった。
2.国内価格の上昇によって越境EC利用も増加している
●商品の値上がりにともない、オンラインショッピング行動がどう変わったかについても尋ねた。いずれの都市でも、割引クーポン利用やセールにあわせた購入など安く買う工夫だけでなく、まとめ買いや頻度の見直しなどふだんの買物行動を見直す動きも見られた。
●加えてインフレ率の違いや為替の変動によって越境ECの利用もインフレへの対応方法のひとつとなっている。ムンバイやバンコクでは商品カテゴリーを問わず30%以上の人が「国内よりも安く購入できる海外ECサイトを利用するようになった」と回答している。
●インフレ率が低い上海とジャカルタでもほかの都市同様に、購買行動を見直し計画的に行動する消費者は多い。東京はほかの都市に比べると具体的な行動に移す人が少なかった。
3.バンコク・ジャカルタ・上海ではライブコマースが定着、東京は普及に遅れ
●ライブコマースで購入した経験があると答えた人は、前回、前々回と同様、全都市の中でバンコクが最も高かった。アジアの都市では購入経験、認知ともに高い傾向は変わらない。
●ニューヨークとロンドンは、アジアの都市ほどではないものの、6割前後が認知しており、購入経験者もほぼ昨年並みで定着している様子がうかがえる。
●東京と他都市との差は、今回も顕著である。認知度については徐々に増えているものの、利用者は2.8%と非常に低い水準にとどまった。名前を聞いたことのない人も半数以上を占める。
トランスコスモス グローバル事業統括 アナリストの萩原雅之は、「この1年の世界的なインフレはオンラインショッピング行動にも大きな影響を与えました。コロナ禍によって実店舗からオンラインへのシフトが進み、EC市場は比較的好調に推移していました。しかしエネルギー危機や原材料費の高騰によって、値引き余地の縮小や配送料の上昇などでブレーキがかかる可能性もあります。国や都市によってインフレ状況や消費者マインドには違いも見られるので、それぞれの特徴を理解したうえで施策を考えることが必要です。」とコメントしています。
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