国内1,400社超が利用する日用品流通の情報基盤を運営する株式会社プラネット は消費財や暮らしにまつわるトピックスをお届けする 『Fromプラネット』 の第184号として、値上げに関する意識調査の結果をご紹介します。未掲載のデータ提供や当社担当者が解説を差し上げることもできますので、お気軽にお問い合わせください。
※回答率(%)は小数点第2位以下を四捨五入し同第1位までを表示しています。そのため、内訳の合計と表示値が異なる場合があります。
目次
今年1月と比べて「値上げの実感」は大幅に上昇
資源、原材料費の価格高騰など、さまざまな要因によって値上げが相次いでいます。すでに身の回りのいろいろな製品が値上げしていたり、これから値上げするのではと噂されていたり、家計を取り巻く状況は明るいとは言えません。
今年1月の調査と同様に「この1年で、あなたが使用している日用品・化粧品の値段に変化を感じますか」と聞いたところ、1月の調査では「とても値上がりしていると感じる」「少し値上がりしていると感じる」の合計はどの年代でも50%を超えていなかったのですが(図表1上)、今回の調査では、男女ともに全年代で50%を超えています(図表1下)。また、「少し値上がりしていると感じる」と回答した割合も高くなっていますが、それ以上に「とても値上がりしていると感じる」と回答した人の割合の伸びが大きいです。
食料品の値上げ「家計に影響」が6割超
「この1年で値上げによって家計に影響のあったものはありますか」(図表2)と聞いたところ、「食料品」(62.7%)、「水光熱費」(51.0%)、「ガソリン」(50.5%)、「日用品・化粧品」(29.4%)の順になりました。
「今後ずっと値上がりしそうだと思うもの」(図表3)も、同順位となっていますが、「外食費」を除いた品目について「値上がりが続きそう」と感じている人が半数を超えています。
値上げに対する視線、以前より厳しく
「いつも買う日用品・化粧品が値上がりした場合、あなたが許容できる値上げ幅はどのくらいですか(図表4)と質問したところ、今年1月の調査(「日用品・化粧品の購入に関する意識調査」 https://www.planet-van.co.jp/shiru/from_planet/vol174.html )からそこまで大きな違いはありませんでした。
ただ、「3%未満」と回答した人は30.9%から34.5%に上昇し、「3%以上5%未満」が30.8%から27.6%に減少、「5%以上10%未満」も26.1%から25.8%に微減しています。
身の回りのものが値上がりしているのを感じていたり、家計に影響が出ていたりという状況で、「値上がりは仕方ない」と諦めたり、納得したりすることもあるでしょうが、値上げに対する視線は以前より厳しくなっているようです。あるいは、いつも買っている日用品や化粧品がすでに値上げをしていて、「これ以上値上げしてほしくない」と考える人が増えていると見ることもできます。
値上がりしても愛用品は買い続ける傾向
「愛用している日用品・化粧品が1割値上がりしたとして、同じ商品を買い続けますか」と聞いたところ(図表5)、ほとんどの品目で50%以上の人が「買い続ける」と回答しています。
「買い続ける」と回答した人が最も多いのは「シャンプー」(79.1%)です。
同じ髪に使うものでも、「リンス・トリートメント」は64.6%と、シャンプーと比べると低い割合になっています。男性が54.5%と女性と比べてかなり低いために、全体の平均だと低い割合になっていますが、女性だけだと74.3%になります。同じように、「洗顔フォーム・化粧落とし」(女性:71.9%、男性:44.2%)、「化粧品」(女性:69.0%、男性:35.7%)についても、全体平均は低いものの、女性の7割前後が「買い続ける」と回答しています。
今年1月の調査で、いつも同じブランドを買う日用品・化粧品があるという人を対象に「いつも買う日用品・化粧品を決めている理由を教えてください」(図表6)と聞きました。「価格に納得感があるから」(26.5%)、「安いから」(19.3%)といった値段に関する回答以上に、「気に入っているから」(49.1%)、「機能がいいから」(33.1%)、「昔から使っているから」(30.7%)と回答した割合が高くなっていました。
許容できる値上げ幅(図表4)においては、10%以上の値上げを許容できる人は1割強という結果でしたが、愛用しているものをすぐさま切り替えられるかというと、そうではない、という複雑な心理が見えてきます。
節約志向は8割超 「家計が苦しい」も過半数
さまざまな商品の値上げを受けて、これまでよりも貯金を増やそうと思うか(図表7)、これまでよりも節約しようと思うか(図表8)を聞きました。
貯金については「とてもそう思う」が28.2%、「少し思う」が29.3%で、合計は57.5%と半数を超えています。
性年代別に見ると、男女ともに「70代以上」は「とてもそう思う」「少し思う」ともにほかの年代と比べて、割合が低く、合計で3割未満になっています。
次に節約について見ると、「とてもそう思う」が45.5%、「少し思う」が36.0%で、合計すると81.5%になり、貯金を増やす以上に、節約しようと考える人が多いことが伺えます。
男女ともに年代別によるカーブは同じようになっていて、「20代」や「70代以上」が、ほかの年代と比べると「とてもそう思う」の割合が低くなっています。
「現在、あなたは家計が苦しいと感じていますか」(図表9)という質問では、「はい」が51.3%、「いいえ」が48.7%でした。ほぼ半数ですが、若干、苦しいと感じている人が上回る結果でした。
家計が苦しいと感じている割合は男女ともに「70代以上」が低く、働き盛りの40代・50代は割合が高くなっています。収入が多いわりに、子育てなど、いろいろと出費がかさむことが関係しているのでしょうか。
夏「遊びに行く予定がある」は2割のみ
いよいよ夏本番ですが、「あなたは今年の夏休み、遊びに行く予定がありますか」(図表10)と聞いたところ、「行く予定がある」と答えたのは20.8%でした。性年代別に見ると、男女ともに20〜40代は、それ以降の年代より高い割合になっていますが、3割を超えていたのは「男性・20代」(33.3%)のみです。
おととし、去年と、コロナ禍によって帰省や遊びに行くのを控えていた人は少なくないでしょう。流行は下火になりつつありますが、物価の上昇により、節約志向が強くなると、遊びに行く気も削がれるのかもしれません。
「仕方ない」と諦めムードで受け止める人が多数
値上げや、その影響について自由回答で聞いたところ、「ほとんどのものが値上がりしているので、仕方がない」と消極的に受け入れている人が多いようです。「これまで企業努力で値段を維持してくれていたなら」「生産者に負担がかかるくらいだったら」と、生産者や売り手のことを考えたら、受け入れざるを得ないという人も。ただ、「値下げできる状況になったら、そのときはちゃんと適正な値段にしてほしい」という声もありました。
- 値上げを受けて感じること、値上げを乗り切るための工夫など
【 必要な値上げなら納得できる 】
● 世界情勢から値上げをすることは、やむをえない。むしろ、同価格のまま内容量を減らすよりは、値上げをするほうが好感を持てる。値上げを乗り切るため、ポイントの有効活用をしている。(女性・30代)
● 値上げは嫌だと言っても、どうせ値上げはするだろうし、売る方も商売なので、自分の利益を減らしてまで還元してくれるわけがない。絶対必要な物は値上げしようが買うしかない。(女性・50代)
● 今回を機会に、一部の企業では値上げをせずに長年企業努力で価格を維持してくれていたと知り、ありがたい気持ちになった。(男性・50代)
● 野菜や肉などの場合、生産者自体に負担をかけるよりも値上げしたほうが消費者としては納得する。(男性・50代)
● 10年以上値上げせずに今回値上げを決断したお菓子メーカーのニュースを見たときに、企業努力ってすごいと思ったのと同時に、もっと早く値上げしたらしんどいことも少なくなったのではと思った。(女性・40代)
● 原材料費の高騰など、企業努力でどうにかできる範疇を超えているので仕方がない。特定のメーカーやカテゴリというわけでなく軒並み値上げなので、一時的に別の商品に乗り換えたところで結局変わらない。(女性・50代)
【 買い物が楽しくなくなった…… 】
● これまでが安かったのなら、値上げは仕方ないと思うが、値上げの話をよく聞くせいで買い物が楽しくなくなった。(女性・30代)
● 節約する事が常に頭にあるせいで、買い物が楽しくなくなった。(女性・50代)
● このご時世だから値上げは仕方ないと諦めるしかない。少しでも安いお店を探して奮闘するのも楽しみの1つと割りきって乗り切るしかない。(女性・30代)
【 歩く機会が増えた 】
● ガソリンが高くなったから、近場はなるべく歩いていこうと思った。(女性・20代)
● ガソリンを抑えるためなるべく近所のスーパーに歩いていく。重いものはまとめ買いする。(女性・50代)
● ガソリン代が高いので、健康のためにも、可能な限り自転車や徒歩、電車に切り替えている(女性・40代)
● ガソリンが高くなったので、徒歩で25分くらいの歩いていける距離は、リュックをしょって買い物に行くことにした。(女性・70代以上)
【 家庭菜園を始めるきっかけ、食材について考えるきっかけ 】
● 野菜を裏庭で育て、楽しみながら節約するようにしている。(女性・70代以上)
● 改めて地産地消について考えたし、気候に左右されないモヤシやキノコに頼るようになった。(女性・40代)
● 地産地消の推進を農業・漁業・工業の1次・2次産業だけではなく、エネルギー政策含めて、自分の問題として取り組んでいくことが重要。
調査機関:株式会社プラネットによる調査企画をもとに、株式会社ネオマーケティングにて「値上げ」に関する意識調査を実施。期間:2022年5月31日~6月3日、インターネットで4,000人から回答を得ています。
株式会社プラネットとは https://www.planet-van.co.jp/
メーカー、卸売業、小売業がサプライチェーンとして連携し、生活者へのサービス向上を目指して進化を続ける日本の消費財流通を、情報インフラ運営で支えている上場企業(証券コード2391)です。
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