Micoworks株式会社 主催 「Conversational Marketer Summit」イベントレポート
2023.04.19
2023.04.19
SYNCAD編集部
今回は、2023年4月14日(金)に開催されたMicoworks主催の国内初となる「カンバセーショナルコマース」をテーマにしたイベント「Conversational Marketer Summit」のレポートをお届けいたします。
ChatGPTの登場によりLINEやInstagramなどを活用したチャットコミュニケーションが注目を浴びる中、青山学院大学 地球社会共生学部 学部長 松永エリック・匡史氏とエリックゼミの学生、株式会社ナースステージ並木純一氏によるセッションを通じて、最新動向や利用体験、今後の論点が共有されました。
目次
松永エリック・匡史氏によるオープニングトーク
当イベントは「カンバセーショナル コマースとは?」をテーマとしたトークセッションから開始。モデレーターをMicoworks株式会社ビジネスマーケティング部Director大里紀雄氏が務め、ゲストには青山学院大学地球社会共生学部 学部長 松永エリック・匡史氏を迎えました。
「カンバセーショナル コマース(会話型コマース)とは、消費者がメッセージングアプリ上で人またはチャットとリアルタイムで会話をしながら、商品・サービス購入の意思決定をおこなう購買プロセスのこと。 EC領域に限らず、人材業界での求人紹介や不動産仲介のやりとり、病院での健康相談など多方面で活用が進んでいるといいます。
近年、海外で注目されている潮流であり、2025年のグローバル市場規模の推計は約18兆円と大きなマーケットポテンシャルを秘めている領域です。
エリック氏によると、ある高級ホテルにチェックインし、部屋に入ると絶妙なタイミングで備え付けのタブレットが話しかけてくる接客体験がすでに体験できる、とのこと。また、オンラインだけではなく、既にオフラインでも様々なシーンで顧客とコミュニケーションが簡単に取れる時代になっているといいます。
また、店舗に行く前に気になる商品の詳細を販売員に気軽に尋ねられる。更に、パーソナルカラーを含め自分に合うのか、サイズ感など事前にAIを通じて顧客とのコミュニケーションが可能になり、購入に繋がるイメージが「カンバセーショナルコマース」の特徴です。
大里氏は一例としてフリマアプリ「メルカリ」を挙げ、顧客が出品者に直接、1on1で商品の状態を尋ねて相談できる。それこそがカンバセーショナル コマースだと伝えました。
エリックゼミ生によるパネルディスカッション「Z世代におけるカンバセーショナルコマース」
続いてのセッションは、青山学院大学 エリックゼミによる「Z世代による購買行動の変化とは?」をテーマにしたパネルディスカッション。
商品購入やサービスを利用する際にチャットなどで対話する場面は?という問いに対し、学生らは「InstagramのDMを通じて美容師に直接メッセージで当日の仕上がりイメージを伝えて予約を行う」「就活の結果がLINEで届く、メールを確認してマイページにログインする必要がないので便利に感じている」と語りました。
カンバセーショナル コマースの利便性を感じる声が多く挙がった一方で、「フリマサービスではやりとりが定型化しており、会話っぽさを感じない」「コピペのようなDMが一方的に送りつけられるのは迷惑に感じる」というネガティブな印象をもつというコメントも。ボットのような定型文にとどめず、いかに自然な会話の流れでコミュニケーションが取れるのかが今後のカギとなりそうです。
株式会社ナースステージにおけるConversational Commerceの事例紹介
看護師向け通販国内売上高No.1を誇る「アンファミエ」、「ナースリー」などを運営する株式会社ナースステージ。今回の事例紹介では同社マーケティングマネージャーの並木純一氏が、看護師対象の転職支援サービス「ナースキャリアネクスト」で行っている、LINEを活用したカンバセーショナルコマースの事例を紹介しました。
ナースステージではLINEを活用したコミュニケーションプラットフォーム「MicoCloud(ミコクラウド)」を活用し、キャリアアドバイザーと求職者との1to1コミュニケーションを行っているとのこと。「人生の大きな意思決定の一つである”転職”を支援するには、一人ひとりに寄り添った対話型コミュニケーションが理想である」と並木氏は語りました。
編集後記
「カンバセーショナルコマース」を掲げた、初となる当イベントは予想以上に多くの方が参加されて少し驚きました。個人的にも新型コロナウイルスの影響でイベントに参加するのは数年ぶりということもありましたが、熱量が高く、ネットワーキングブレイクでは様々な企業のマーケターの方やマーケティングメディアの方々も参加されていて、とても勉強になりました。
ECから人材業界まで身近に使われている「カンバセーショナルコマース(会話型コマース)」は、まだ発展途中で課題もありますが、今後はより精度が上がり生活に溶け込むようになると感じました。
今回の「Conversational Marketer Summit」は、まさに「Conversational(カンバセーショナル)」な場で新時代の幕開けが予感されるイベントでした。