AMN調査リリース、景表法改正に対するユーザー意識調査を実施
2023.04.21
2023.04.21
『世界中の“好き”を加速する』をビジョンに掲げ、ブランドのファン育成・活性化を手がけるアジャイルメディア・ネットワーク株式会社 (以下AMN)は、2023年10月に施行が予定されている景品表示法の改正にあたり、ソーシャルメディア(*1)における「#PR」等のプロモーション明示についての意識調査を行い、その結果を公開しました。
(*1)ソーシャルメディア:Twitter・Instagram・Facebook・TikTokなど、ネット上で利用者情報やコンテンツを共有し交流するメディア。
調査の背景
近年、消費者に広告・宣伝であることを意図的に隠したうえで商品やサービスのクチコミを行う『ステルスマーケティング(ステマ)』が問題となっていましたが、その対策として消費者庁は2023年3月28日、景品表示法第5条第3号の規定に基づき、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の告示指定を行いました。(*2)
これにより、施行が開始される2023年10月1日より、金銭や物品・サービスの提供を受けた第三者(個人)のソーシャルメディアなどへの「クレジット表記」(*3)がない投稿や、企業関係者の無関係な第三者を装った投稿が規制の対象となり、措置命令などの行政処分を受ける可能性が出てきます。
そこで当社では、ソーシャルメディアにおける景表法改正の影響を調査すべく、ユーザーアンケートを実施し、その調査結果を公表いたします。
(*2) 消費者庁「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の指定及び「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」の公表について
https://www.caa.go.jp/notice/entry/032672/
(*3) クレジット表記:「広告」「プロモーション」「PR」といった表示及び、「●●(企業名等)からの商品の提供を受けて投稿している」などの文章表記
調査概要
調査対象期間:2023年3月20日~2023年3月24日
調査元:アジャイルメディア・ネットワーク株式会社
調査手法:インターネットリサーチ
調査対象者:Twitter/Instagram/TikTokのいずれかを日常的に利用(閲覧または投稿)している方
※割付条件:性別(男性・女性)×年代(10代、20代、30代、40代、50代、60歳以上)で均等に割付
有効回答者数: 671サンプル
調査サマリー
1.企業から金銭や商品・サービスなどの提供を受けた上で投稿する場合、「PR」「プロモーション」などの記載 をするルールは約7割が知っていた。特に若年層の認知が高く、20代では9割が把握していた。
2.消費者を守るための規制強化については約6割以上が「評価する」と回答、20代では約8割が「評価する」としている。
3.クレジットがついている投稿でも「本人の言葉で語られている」「実際の体験に基づいた内容になっている」ものには興味を示す割合が高い。
Q1.
ソーシャルメディア上では、個人が企業から金銭や商品・サービスなどの提供を受けた上で情報発信(投稿)をすることがあります。
こうしたソーシャルメディア上の投稿の際には「PR」や「プロモーション」などのハッシュタグやテキストを記載することが推奨されています。あなたは、このルールを知っていましたか。
アンケートの結果、「ルールを知っていた」「ある程度知っていた」「聞いたことはあった」というルールを認知していた層が合わせて74%、「全く知らなかった」という非認知の層が26%でした。
これを年代別で見てみると下記のような内訳になりました。
年代別で見てみると、10~20代での認知が高く、特に20代では9割が把握しています。一方で年齢が高い層では、若年層に比べて認知が低い傾向が見られました。
Q2.
現在、景品表示法(景表法)の改正作業が進んでおり、ソーシャルメディア上での情報発信について規制が強化される見通しです。
具体的には、消費者の誤認を防ぐために「企業から金銭・商品・サービスを提供されたうえでの、ソーシャルメディア上での投稿」を行う際には、「PR」や「プロモーション」などのハッシュタグやテキストをつけることが義務となります。
あなたは、消費者としてこのことについて評価しますか。もっとも近いものを一つお選びください。
※注:調査時は消費者庁の告示指定前だったため、設問文が「規制が強化される見通し」となっています。
アンケートの結果、「とても評価できる」「評価できる」が合わせて65%と、規制強化を評価する傾向が過半数以上となりました。
これを年代別で見てみると下記のような内訳になりました。
年代別で見てみると、20代での評価がいちばん高い結果となり、次に30代と60代が同じくらいの割合となりました。
Q3.
前の質問に「とても評価できる」「評価できる」と回答された方に伺います。
その回答をされた理由を以下の中からお選びください。
Q2で「とても評価できる」「評価できる」と回答された方に、その理由を尋ねると上記のような結果となりました。
一番多かった理由としては「より正確な情報が欲しい」で約半数、 その他の理由もほぼ4割前後となっています。「過去にステルスマーケティング(ステマ)で残念な思いをしたことがあったから」は14%程度にとどまり、8割は実体験があるわけではないことが明らかになりました。
Q4.
ソーシャルメディア上のどのような投稿に興味を持ちますか。それぞれの発信元ごとにお答えください。
上記の設問において、全体としては「本人の言葉で語られている」「実際の体験に基づいた内容になっている」の重要度が高い結果となりました。
また、発信元別に結果を見ていくと下記のような結果となっています。
●インフルエンサー
「本人の言葉で語られている」「実際の体験に基づいた内容になっている」「ブランドや商品・サービスに対する思い入れ・熱量が感じられる」の順で興味を持っていることが分かりました。しかしながら、約3割が「その発信元からの投稿には興味がない」との回答結果となりました。
●友人・知人
「本人の言葉で語られている」が突出しており、次いで「実際の体験に基づいた内容になっている」が高い結果となりました。
●検索結果やおすすめなどで見かけた投稿
「もともと興味あるジャンルの商品・サービスである」が高いのは、そもそも検索で見つけているという理由に基づくからと推測されますが、「実際の体験に基づいた内容になっている」「ブランドや商品・サービスに対する思い入れ・熱量が感じられる」「投稿に対する反応(いいね!/コメントなど)が多い」が高い数値となっています。
Q5.
「#PR」などのハッシュタグが付いていたとして、ソーシャルメディア上のどのような投稿に興味を持ちますか。それぞれの発信者ごとにお答えください。
上記の設問において、全体としては「#PR」がついていても「本人の言葉で語られている」「実際の体験に基づいた内容になっている」の重要度が高い結果となっています。
発信元別に結果を見ていくと、下記のような結果となっています。
●インフルエンサー
「本人の言葉で語られている」「実際の体験に基づいた内容になっている」「ブランドや商品・サービスに対する思い入れ・熱量が感じられる」「もともと興味あるジャンルの商品・サービスである」が全て高い結果となっています。しかしながら、やはり約3割が「その発信元からの投稿には興味がない」との回答結果となりました。
●友人・知人
「本人の言葉で語られている」、次いで「実際の体験に基づいた内容になっている」が高く、これはQ4と同じ傾向となりました。
●検索結果やおすすめなどで見かけた投稿
「もともと興味あるジャンルの商品・サービスである」次に「実際の体験に基づいた内容になっている」「ブランドや商品・サービスに対する思い入れ・熱量が感じられる」「投稿に対する反応(いいね!/コメントなど)が多い」が高い数値となっており、この結果もQ4と同じ傾向がみられることとなりました。
調査結果まとめ
今回の調査から下記のような傾向が分かりました。
・消費者の立場から景品表示法の改正に関して評価している一方で、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)ユーザーとしては、「#PR」などの表示自体を特別に気にしているわけではない。
・相対的に見ると「#PR」などの表示の有無に限らず、本人の言葉で語られていたり、実際の体験がもとになっている投稿であれば、興味を示す割合が高い。
このことから、「#PR」がついている投稿が必ずしもマイナスに受け止められてはいないこと、また「#PR」がついていても『自分の言葉でリアルな体験を投稿しているもの』は興味を持たれやすいため、今後もより一層、自分の気持ちが伝わる言葉で本当に好きなものについて語っている、質の高い投稿をすることが求められていくと考察されます。
企業のマーケティングにおいても、景品表示法を理解し遵守することが消費者の評価につながると共に、自社の商品/サービスの価値や魅力が伝わる体験の提供や、継続的なコミュニケーションを通じて、インフルエンサー・個人共に真のファンの良質なクチコミを醸成することが重要になっていくと考えられます。
関連リンク
●アジャイルメディア・ネットワーク株式会社
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