【参加レポート】アドタイデイズ2019春

株式会社宣伝会議が主催するアドタイデイズ2019(春)に参加してきました。

本記事では、多数のセミナーの中で注目したセッションをピックアップしてご紹介いたします。
 

イベント概要

 

アドタイデイズ2019について

アドタイデイズとは、株式会社宣伝会議が主催する広告・マーケティング業界の総合イベントです。

今回のテーマはズバリ「HOPE」です。広告業界の新しい希望を見つけることができないか、業界に携わる様々な企業を招き議論を行うというテーマをもって開催されました。セミナーセッションでは大手広告主や総合広告代理店によるマーケティング事例の紹介など大変魅力的なコンテンツが目白押しでした。

当日は天気も良く、会場には多くの来訪者が訪れていました。セミナーセッションでは、受付に長蛇の列ができ、各出展ブースも賑わいがあって、会場全体が大いに盛り上がっていました。

図1:会場の雰囲気

なお、Twitterで「#アドタイデイズ」とハッシュタグを添えてツイートすると、ドリンクを一杯無料でいただけます。キンキンに冷えたアイスコーヒーが乾いた喉を潤してくれました。

図2:Twitterハッシュタグ #アドタイデイズ

 

セミナーセッションについて

 

概要

 
セッション名
テクノロジーで叶える生活者に愛されるデジタルマーケティング ~北海道の翼 AIRDOの取り組みを交えて~
 
登壇者
株式会社電通国際情報サービス 亀山 幸代氏
株式会社AIRDO 山田 遥氏
 
内容について
セッションは大きく前半と後半に分けて進行します。前半は、電通国際情報サービスの亀山氏によるデジタルマーケティングを取り巻く現在の環境について、後半は、同社とAIRDOによる取り組みの事例について詳しくお話を聞きました。

図3:セミナー概要と登壇者

まずは亀山氏より、現在のデジタルマーケティングを取り巻く環境についてご紹介いただきました。テクノロジーとマーケティングの視点から、それぞれのトレンドについて解説していただきました。
 

デジタルマーケティングを取り巻く環境

 
テクノロジーの観点
亀山氏によれば、近年、デジタルマーケティングの重要性が広く認知されたことにより、様々なマーケティングテクノロジーが発展したといいます。マーケティング施策においては、オーディエンスデータの利用が進み、データマネジメントが活発に行われています。

図4:デジタルマーケティングにおけるトレンド

多くの企業において、2nd・3rd Party Dataの活用が進んでおり、企業間でデータエクスチェンジされたオーディエンスデータを施策に活用することで、顧客とのコミュニケーションを促進するケースが増えているといいます。ちなみに、海外では2nd Part Dataを積極的に活用する企業が多く、日本に先行してデータマネジメントが活発に行われていると説明してくれました。一方、1st Party Dataの活用については、どの企業においても課題とされています。

また、多様なデバイスが登場したことにより、様々なデータを蓄積・活用することが可能になってきたといいます。亀山氏によれば、人気急上昇中のスマートスピーカーなどのデジタルデバイスを活用した、新しいデータマーケティングが流行すると考えられています。

補足
・1st Party Data
ECやCRM、サイト分析の領域で収集される企業独自のデータ

・2nd Party Data
企業間でデータエクスチェンジされるデータ

・3rd Party Data
様々なWebサイトで収集されるオーディエンスデータや統計データ

 
マーケティングの観点
亀山氏によれば、現在のマーケティングでは、オンライン・オフラインのユーザーに対して様々なチャネルからコミュニケーションをとる手法がトレンドだといいます。事実として、O2Oと呼ばれるオンライン・オフラインの相互関係施策を実施する企業が増加傾向にあり、幅広い企業においてチャネルの多様化が進んでいると説明してくれました。マーケティングにおけるトレンドは、リアルタイム性・エモーショナルコンテンツ・チャネルの選定の3つ
 
リアルタイム性
ユーザーの反応を高めるためには、ユーザーの状況に応じてリアルタイムに施策を実行することが欠かせないといいます。

電通国際情報サービスとAIRDOの取り組みにおいては、エアライン初となるLINEの二次元バーコードによる搭乗サービス「AIRDO ONLINE Service」を開発しました。これにより、航空機搭乗前の煩雑な手続きをLINEで済ませることができ、AIRDOを利用することによる利便性を訴求できたといいます。

今後のデジタルマーケティングでは、AIRDOのように、ユーザーが必要とするタイミングで適切なサービスを提供することが重要だと感じました。
 
パーソナライズによるエモーショナルなコンテンツ制作
ユーザーの属性や購買・行動履歴に基づいて、それぞれのユーザーセグメントごとに適したコンテンツを制作するケースが増えているといいます。

これはデジタルマーケティングの浸透が要因だと考えられます。近年、多くの企業でデジタル施策が重要視されていることにより、Web上には様々な広告が溢れ、従来のような顧客全員に同一の情報・コンテンツを提供するだけでは、良いマーケティング効果が期待できなくなっています。そのため、ユーザーの属性に合わせたコンテンツを制作することで差別化を図り、施策への反応を高める必要があります。

つまり、ユーザーに愛される顧客体験を実現するためには、テクノロジー視点とマーケティング視点の観点から課題解決を図ることが求められる時代になったといえます。
 
エンドユーザーにとって最適なチャネルの選定
全てのユーザーに対して漫然とチャネルを設定するのではなく、エンドユーザーの利用シーンに応じてSNSやメールを使い分けているといいます。
 

AIRDOの取り組むデジタルマーケティング

AIRDOは、北海道に強い基盤を持つ航空会社です。昨年就航20周年を迎え、北海道と本州を結ぶ「北海道の翼」として10路線1日約60便を運航しています。大手企業が優位とされる航空業界において、どのようにして成長を遂げているのか。その要因について、デジタルマーケティングの観点からお話を聞きました。
 
カスタマージャーニーの定義
亀山氏によるとAIRDOでは明確に定められた、カスタマージャーニーに基づいたマーケティングを実施することを理想としているようです。同社のカスタマージャーニーの理想像としては、ユーザーとの接点を「旅行の検討、旅行前、旅行中、旅行後」の4つに分類し、ユーザーの行動・思考・感情面の動きを可視化することを目指しているようです。理想とする施策案についても説明してくれました。

図5:AIRDOのカスタマージャーニー

カスタマージャーニーとは
ペルソナの動き(行動・思考・感情)を時系列により可視化したもの。
 
旅行検討
旅行を検討するタイミングは様々ありますが、AIRDOでは、長めの夏休み・連休を利用した女子旅などが検討されるなどの適切なタイミングを狙ったマーケティングをしているといいます。また、問い合わせ顧客のフォローとしては、コールセンターを活用することで、ユーザーのモチベーション向上を図られていると解説してくれました。

また、チケット予約においては、キャンセル対応に力を入れていきたいといいます。将来的には、キャンセル時にアンケートを収集し、要因を分析することでユーザーの求める最適な再オファー施策を実現したいといいます。
 
旅行前
予約したユーザーに対しては、CA(キャビンアテンダント)よりおすすめのエリアを紹介するなど、旅行先の情報を提供する施策を検討しているようです。また、搭乗一週間前には、天気予報など旅行先の最新情報を提供することを検討しているようです。それだけにとどまらず、搭乗前日にはAIRDOアプリによるスケジュール等のリマインドなどの施策を検討しており、ユーザーサポートの徹底を目指しているようです。
 
旅行中
搭乗日には、機内ではCAによる「One to Oneのおもてなし」により、ユーザーのブランドロイヤリティ向上を図ります。到着後も手厚いサポートが用意されており、クロスセル・アップセルを行うといいます。また、交通マップ・交通情報の提供により旅行を最大限楽しむためのフォローが徹底されているように感じました。
 
旅行後
到着後には、メールやアプリよりサンクスメッセージによる顧客フォロー施策が検討されています。また、到着から1日後には顧客満足度調査を実施、1ヶ月後には旅行関連の最新情報を提供することで、ユーザーの旅行マインド醸成することを理想としているようです。

このように、カスタマージャーニーに基づいたマーケティングにより、ユーザーの旅行頻度は増え、AIRDOを選ぶファンユーザーを創出することに繋がるでしょう。
 
オウンドメディア施策
AIRDOでは、北海道にまつわる情報を発信するオウンドメディア「Yorimichi AIRDO」を運営している。

図5:Yorimichi AIRDOについて

広告は、費用をかけて集約する施策だが、予算を引き上げれば集客効果は見込めなくなる。山田氏によると、AIRDOでは少ない予算の中で道外の認知度を向上し、効率よく集客することが課題となっていたため、継続的な集客ができるオウンドメディアを設立したといいます。

Yorimichi AIRDOでは、AIRDOを知らないユーザーに認知を促進し、まずは旅行を喚起する。そして、実際に旅行を検討する際にAIRDOを選んでもらえるように運営しているといいます。メディアを通じて集客効果を求めるのではなく、ユーザーと継続したタッチポイントを構築し、ファンユーザーの育成を大切にしている姿勢が強く伝わりました。

AIRDOでは、コンテンツ制作のなかで地域に根差した情報発信をポリシーとしているといいます。メディアの運営にあたっては、炬燵記事(フリー素材、Wiki引用で作れる記事)を作らず、実際に現場に行き、自分で見て体験したことのみを記事化しています。山田氏によれば、コンテンツひとつひとつに愛を込めて作ることにより、ユーザーに響く情報提供を目指しているといいます。
 

パネルディスカッション

最後には、亀山氏と山田氏によるパネルディスカッションが行われました。

亀山氏
デジタルマーケティングを実施したことで社内はどのように変化しましたか。
山田氏
電通国際情報サービスさんのサービス導入を皮切りに、会社をあげてデジタルマーケティングの取り組みが進みました。最近では、デジタル施策比率が向上しています。
亀山氏
デジタル施策のメリットはどこにあると感じますか。
山田氏
従来の施策と比べて、費用対効果が分かりやすい点だと思います。詳細なデータ分析により次の施策へ繋げられる拡張性の高さもメリットだと思います。
亀山氏
テーマ(生活者に愛されるデジタルマーケティング)に関して、今後のAIRDOはどのように取り組まれるのでしょうか。
山田氏
新たに登場するテクノロジーを考慮して、マーケティング施策を考えていきます。テクノロジーのトレンドを踏まえつつも、消費者に愛される情報発信を続けてまいります。

お話を伺う中で、電通国際情報サービスとAIRDOには強い信頼関係が構築されているように感じました。AIRDOが重要視するコンテンツ愛を理解し、一緒に進めようと親身になってくれる電通国際情報サービスだからこそ、信頼して協業関係を構築できたのではないかと思います。
 

まとめ

デジタルマーケティングは、ここ数年間で爆発的な広がりを見せています。様々な企業においてデジタルマーケティングが実施されることになり、Web上ではユーザーの取り合いにまで発展しているのが現状です。

AIRDOでは、利用シーンに応じたマーケティングにより、ユーザーのモチベーションの向上を図り、ファンユーザーの育成に注力している。これが他社との大きな差別化につながっているように感じます。

同社が実践するオウンドメディア運営については、私も大変勉強になりました。ユーザーに刺さるコンテンツ提供のために外に出て体験したことだけを記事化する姿勢に共感しました。

また、同社のSNS運営において、中の人の表情がわかるように意識している点にも驚きました。SNS運営では担当制を導入したことで、ユーザーとスタッフとの距離感が縮まり、エンゲージメントが向上したといいます。

これらは、企業とユーザーの距離感を縮めるための非常に有効な手段であると感じます。AIRDOが成長している背景には、デジタルマーケティングに対する会社の理解、ユーザーの役に立とうとする姿勢が大きく影響しているように思えました。同社の今後に期待が高まります。

アドタイデイズでは、広告・マーケティングに関して幅広いノウハウを学び、議論することができます。次回開催は、2019年9月4日(水)・5日(木)開催を予定しています。詳しくは、アドタイデイズ2019秋よりご確認ください。
 

関連リンク

宣伝会議 AdverTimes Days 2019 Spring
株式会社宣伝会議
株式会社電通国際情報サービス
株式会社AIRDO




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